企業行動指針のなかにSDGsを見出したワタベウェディング 企業のSDGs取り組み事例vol.8(前編)

2020年03月19日

リゾートウェディングのパイオニアとして知られるワタベウェディング。SDGsへの取り組みを始めようとした時、実は企業行動指針のなかに、SDGsが目指すゴールと合致するものがいくつもあることに気がついたといいます。そこからどう発展させたのか。担当者にお話を聞きました。

ワタベウェディング 経営企画部 広報担当 田村愛実さん

取り組み強化のきっかけは、「ハワイ」

──ブライダル業界は女性が多く活躍されているイメージがあります。御社のSDGsの取り組みは「ジェンダー平等」という観点からスタートされたのでしょうか。

田村 確かにブライダル業界は女性比率が高く、当社の社員も7割が女性です。ジェンダー平等は、もちろん恒常的に取り組んでいる大きなテーマですが、それだけではありません。

もともと当社は、海外のリゾートエリアで事業を展開しているため、各エリアのサステナブルに関する課題や取り組みは、つねに意識していました。ですが、具体的なアクションを起こしたきっかけは、2018年7月、当社の海外ウェディングの主要エリアであるハワイで新しく環境保護に関する法律が制定されたことでした。米ハワイ州のイゲ知事が、サンゴ礁への有害性が指摘される物質を含んだ日焼け止めの販売や流通を禁じる法案に署名した、という報道を受け、当社でも、もっとサステナブルに関しての取り組みと発信を強化していこうという動きが生まれました。

ワタベウェディングは業界に先駆け、ハワイでの挙式を実現。「海外での挙式」を定番化させた

──企業としてSDGsへの取り組みを始めた、ということでしょうか。

田村 実はかなり早い段階から、企業としてさまざまな社会貢献活動は行っていました。そもそも、当社の企業行動指針がSDGsと共通する部分が多かったんです。ですから、それを「SDGs」という言葉で発信し始めた、ということでしょうか。

まず検討したのは、「SDGsに取り組む」という姿勢のアピール

──御社の企業行動指針が、「SDGs」だったのですか。

田村 はい。今回、企業としてSDGsへの取り組みを発信するにあたり、あらためて企業行動指針を見直して、気がつきました。女性が多く活躍しているので「ジェンダー平等」はもちろんですが、「働きがいも経済成長も」という部分や、リゾート地の自然環境やそこで暮らす方たちの文化の尊重と融合、「住み続けられるまちづくり」など、実はSDGsが目指しているゴールと共通する部分が多くあったので、これまでやってきたことを、今後も続けていけばいいのだとあらためて認識しました。

──その企業行動指針を、どうSDGsの取り組みに反映されたのでしょうか。

田村 社内外に向けての「発信」を強化しました。企業行動指針は、あくまでも社内のルールとして社員が心に留めておくものなので、それを社外に発信することはしていませんでした。企業として取り組むからには、まず、「SDGsに取り組む」という姿勢を社内外へアピールすることが必要だと考えました。

201981日、ワタベウエディングは、
コーポレートサイトでSDGsへの取り組みをスタートすることを発表

──発信ですか。

田村 そうです。実は、2018年7月に発表されたハワイの環境保護に関する法律を受けて具体的な取り組みを進めていた時、『FRaU』のSDGs特集号を書店で見つけて、衝撃を受けました。『FRaU』の世界観は、私たちがちょうどターゲットとしているお客様の嗜好や年齢層に合致するので、「こういう形で発信することで、お客様に私たちの思いを伝える方法もある」と分かったんです。機会があれば、ぜひ当社もFRaUでSDGsの取り組みを紹介させてほしいと思っていたところ、以前登録した講談社さんの「C-Station」のメルマガでSDGsの記事を読み、ぜひご一緒させてほしいと、相談をしました。

最新号の『FRaU』で、自社のSDGs商品掲載ページを説明する田村さん

──「C-Station」がお役に立てて光栄です。『FRaU』のSDGsパートナー企業になって、どんなことが変わりましたか。

田村 社内報でFRaUへの掲載についての報告や、SDGsへの取り組みを伝えたところ、「自社がこのように社会に貢献できる取り組みをしているのは嬉しい」とSDGsへの社員の意識が高まったように感じています。

お客様からの反響はまだそれほど多くありませんが、「リゾートウェディングのワタベウェディング」としてだけでなく、「SDGsに取り組むワタベウェディング」としても知ってもらえるよう、取り組みを続けていきたいです。

──SDGsに取り組む専任部署やプロジェクトなどはあるのでしょうか。

田村 今は専任の部署はありません。会社全体で進めるために、広報が所属する経営企画部が主体となって、方針を定めている段階です。しかしすでに、他の部署やプロジェクトなどでもSDGsを意識した企画や提案が出てきていますし、今後、さらにSDGsの取り組みが大きく発展していくと期待しています。


SDGsが登場する以前から、企業行動指針によって、ビジネスで環境・社会課題の解決を目指してきたワタベウェディング。では実際に、どのような取り組みをされたのでしょうか。後編(325日公開予定)では、ワタベウェディングが取り組むSDGsの具体例や、ウェディング業界がSDGsに取り組む意義について聞きました。

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企業のSDGs取り組み事例