2020年02月17日
企業戦略としてSDGsに取り組む企業を紹介する連載。今回は、アッシュ・ぺー・フランスの後編。SDGsへの取り組みを進める一方で、最近は企業のブランディングやコンサル業務も行っているという同社。社会や環境課題の解決に向けて、自社のクリエイション力をどのように活用しているのか。具体的な取り組みや今後の目標について、担当者にお話を聞きました。
(左)エシカル事業部の坂口真生さん、(右)同 早坂奈緒さん
──「エシカル事業部」の取り組みについて教えてください。
坂口 基本となるのは、年2回開催している「roomsエシカルエリア」の企画運営です。昨年から「rooms」の展示会テーマの主軸のひとつに「サステナブル」を加えました。「rooms」のエシカルエリアは、B to Bでブランドをサポートする場と考えています。日本だけでなく、海外のエシカルブランド、エシカルプロジェクトが、これだけの規模で集まる場所というのは、日本では「rooms」以外にはありません。SDGsに取り組むブランドや、これからやろうと思っている企業にとっても、「ビジネスチャンスを作れる場」と認識されていると感じています。また、この「rooms」をきっかけに、大手百貨店や商業施設からお声をかけていただき、「エシカルキャンペーン」や「エシカルポップアップストア」などのイベントサポートなどを行う機会も増えています。
──具体的な取り組み事例を教えてください。
坂口 東急百貨店さんで、「hug & ethical」というテーマのエシカルキャンペーンを行いました。ショッピングを通じて地球や自然、人や社会とつながる「エシカル体験」をしていただく企画です。本店、東横店、たまプラーザと吉祥寺の4つの館で30~40の売場をいただき、エシカルブランドをブッキングして「東急百貨店でエシカル商品を選ぶことで、社会貢献や地球環境の改善につなげよう」と提案しました。お客様に配布する小冊子や、ワークショップなども手がけ、お客様にとっても百貨店にとってもメリットがあったと思っています。この取り組みは大変好評で、今年で継続4年目になります。
エシカル事業部 部長 坂口真生さん
──「SDGsのブランディング」ということでしょうか。
坂口 そうですね。世界を変えていくためには、一人ひとりの意識変容が重要です。アッシュ・ぺー・フランスでは、エシカル商品を紹介する場所を作り、エシカル商品を販売する場所を作ることで、世の中にエシカルやSDGsを広めるしくみをつくることができると考えて、エシカルブランドのプロモーションやブランディング、セールスサポートなども行っています。
──幅広い取り組みを行っているのですね。
坂口 今、ようやく企業や国もSDGsの必要性に気づきはじめていますが、私たちはもはや「取り組むべき」を通り越して「SDGsに取り組まないことがリスクです」と言っています。世界と比較すると、日本はまだまだ、エシカルが広まる土壌が整っていませんが、こうした状況が少しでも改善できるよう、新たな提案や挑戦をしながら、日々開拓を続けています。
最近の取り組みとしては、豊田通商グループのブランディングがあります。日本でフェアトレードコットンを普及するべく「できることから、少しずつ」をコンセプトに掲げるフェアトレードコットンのブランド「コットンエイト」の立ち上げに参画しております。今、このブランディングのご相談を受け、担当者さまと一緒にワクワクしながら新しい企画を考えています。
──「ワクワク」は継続の大きなモチベーションにつながります。
坂口 『FRaU』のSDGs号第2弾でも取り上げていただきましたが、2019年12月にオープンした京阪グループが手がける複合商業施設「GOOD NATURE STATION(グッドネイチャーステーション)」のプロモーションをお手伝いさせていただきました。会議室で行うのとは違う「ワクワク感」を創出するため、記者発表をroomsで行い、その後ホテルのオープニングPRなどもお手伝いさせていただいています。
GOOD NATURE HOTEL KYOTO東山テラススイート
GOOD NATURE HOTEL KYOTOガーデンビューテラスツイン
──ほかに、新しい取り組みがあれば教えてください。
坂口 2018年11月に、「エシカル」をテーマに、地産地消の建材を多用したオフィス空間をつくるプロジェクトをお手伝いしました。ダイアモンドヘッド株式会社さんが札幌を本社化する移転を機にご相談を受け、「エシカルな空間」をつくりあげるためのエシカルディレクションを行いました。
この取り組みは全国放送のニュース番組でも特集され、広報・PRのストーリーまで落とし込んだ一大プロジェクトになりました。
ダイアモンドヘッド株式会社のパブリックスペース
──これだけ展開が多様になると、周囲からの評価も変わってきたのではないでしょうか。
坂口 おかげさまで、最近はいろいろな方に「時代がようやくアッシュ・ぺー・フランスに追いついて来ましたね」と言っていただくことが多くなりました。創業当時から一貫して掲げてきた価値観が、エシカル事業により広まり、豊かな暮らしを実現するためのカギとなっていくのを感じています。
ただ、同時に「SDGsウォッシュ」という言葉も出始めているので、先導を担ってきた企業として、そこは見逃してはいけないと思っています。
──今後の目標について、教えてください。
坂口 日本でもようやくSDGsが定着しはじめ、NPO団体なども多く活動していますが、まだまだ社会的評価や経済面での自立が難しい状況です。海外では、大企業の役員がNPOの役員を務めることがステイタスとなっている例も多く、十分な報酬ももらえています。きちんと報酬がもらえて、仕事に誇りもやりがいも持てるソーシャルビジネスを、日本にもっと増やしたい。それが今の目標です。個人的に気になっているのは、2025年の大阪万博。テーマが「サステナブル」なので、アッシュ・ぺー・フランスがお手伝いできる企業や団体がたくさんあるのではないかと思っています。「何をしていいかわからない」という企業のご担当者さまは、ぜひ、「rooms40」を見に来てほしい。ワクワクする未来に向けて、一緒に考えていけたらいいなと思っています。
●「rooms40」開催概要
・会期:2020 年 2 月 20 日(木),22 日(土) 10:00 - 18:00
20 日(木)/BUYER & PRESS DAY、21 日(金)・22 日(土)/FOR EVERYBODY
・場所:国立代々木競技場第一体育館
・出展者数:約 500 ブランド
・出展ジャンル:ファッション、ライフスタイル、デザイン、アート、クラフト、インテリア、キッズ、飲食等
・登録料:2,000 円(ビジネス関係者で招待状がある方は無料)
・チケットは 12/23 公式サイトで発売開始。
・公式 URL:www.roomsroom.com
・公式 IG:@rooms_tokyo #rooms40 # ルームス 40
「サステナブル」をテーマにした2025年の大阪万博に向けて、国内のSDGsへの注目度はさらに高まっていくのではないでしょうか。企業は今後、いかにSDGsと向き合うかがますます重要になりそうです。