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SDGs取り組み事例vol.20  「世界中のお客様のこころ豊かな暮らしを実現したい」。革新を進め、社会への貢献を目指す花王の挑戦

2021年05月25日

明治20年の創業以来130年以上、事業活動を通じて人々の暮らしを支える製品を作り続けてきた花王。日本国内では現在、トイレタリー部門ナンバー1のポジションを築く同社は、どのようにSDGsへの取り組みを進めてきたのでしょうか。
ESG部門 ESGコミュニケーション担当部長の大谷純子さんにお聞きしました

大谷さん写真1

花王株式会社 ESG部門 ESGコミュニケーション担当部長 大谷純子さん

「利益ある成長」の中で世界中の人々のこころ豊かな暮らしを実現する

──御社のサステナブルな取り組みは、世界の代表的な社会的責任投資(SRI)指標である「Dow Jones Sustainability World Index」に7年連続で選定されるなど、国際的にも高く評価されています。御社がどのようにSDGsを進めてきたのか教えてください。

大谷 花王は130年にわたり、人々の暮らしに寄り添うことで豊かな生活文化の実現をめざしてきました。

私たちが拠り所としており、成長の基盤としているのは、企業理念である「花王ウェイ」です。「花王ウェイ」では、世界の人々の喜びと満足のある豊かな生活文化の実現と社会のサステナビリティへの貢献を使命に掲げていますが、これはSDGsが目指す世界そのものです。

2017年に事業活動を通じた社会的課題の解決や社会貢献活動による「社会のサステナビリティへの貢献」と、持続的な「利益ある成長」との両立の実現をめざす、花王グループ中期経営計画「K20」を公表し、翌年には、これまで以上に環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視した経営を進めるための社長直轄組織としてESG部門を立ち上げました。

2019年にはESG戦略「Kirei Lifestyle Plan(キレイライフスタイルプラン)」を公表。「ごみゼロ」「脱炭素」などの目標を設定し、包装容器のプラスチック使用量削減などを推進しています。

花王のESGビジョン「Kirei Lifestyle」

プラスチック使用量の大幅削減で環境に貢献

──昨今は、気候変動や資源枯渇、海洋プラスチックごみといった社会課題が浮き彫りとなっています。御社ではこうした社会課題にどのように向き合っているのでしょうか。具体的な取り組みについて教えてください。

大谷 当社は、今ほど環境対応が重視されていなかった2009年に、さまざまなステークホルダーの方と一緒に実行できる『花王 環境宣言』を出しています。

当社がご提供しているのは、多くのご家庭で毎日のように使っていただく製品で、環境とも深い関わりがあります。「原材料調達」や「生産」「物流」「廃棄」というものづくりの段階のなかでも、お客様に使っていただく「使用」で環境に負荷を与えないような製品を生み出していかなければ、持続可能な社会は実現できないという意識は、SDGsの概念が広がる以前から強く持っていました。

製品に欠かせない包装容器におけるプラスチックの使用についても、1990年代からつめかえ用フィルム容器を発売するなど、環境負荷低減に先進的に取り組んでいます。これまでに内容物の濃縮化による容器の小型化や、強度を保ちながらボトルを薄くする設計など、プラスチック使用量の大幅削減を実現してきました。

2020年4月に店頭販売を開始した「スマートホルダー」は、花王が独自に提案し普及に努めてきた、液残りが少なくつめかえやすい、つめかえ用製品「ラクラクecoパック」をセットするだけで、ボトル容器につめかえずに使うことができる画期的な製品です。シャンプー、コンディショナー、全身洗浄料用があり、もちろんホルダー自体も繰り返し使うことができます。

最後まで無駄なく中身を使うことができるうえ、底がヌメりにくい衛生的なつくりが特長です。2017年の発売以来オンラインショップを中心に販売してきましたが、店頭販売の本格化でより多くのお客様にお使いいただくことにより、さらなる環境負荷の低いつめかえ用製品の使用促進を目指しています。

「スマートホルダー」を紹介する大谷さん

つめかえ用製品をセットするだけで、つめかえずに
繰り返し使える「スマートホルダー」を紹介する大谷さん

お客様に選ばれる製品を生み出し続ける

──御社はSDGs推進のリーディングカンパニーとして、国内外で高く評価されています。SDGs経営において、何がいちばん重要だと思いますか?

大谷 SDGsが経営の成長戦略そのものに据えられていることだと思います。

たとえば、当社の本数ベースで8割を占めるつめかえ用製品。日本では多くのお客様にお使いいただき、主軸になっていますが、世界規模で見ると「つめかえる」という習慣が根づいていない国もまだ多くあります。そこで当社では、「つめかえる」という発想から一度離れ、つめかえ用容器に使用している薄いフィルム素材を使って、つめかえなくてもプラスチック使用量を(ボトル容器に比べ)半減できる容器の開発に挑戦しました。

2020年4月からアメリカで発売を開始した「MyKirei by KAO」のシャンプー、コンディショナー、ハンドソープには、その新容器を採用しています。

容器の外側に空気を入れて膨らませることで自立できる構造で、これまでのボトル容器に比べ、プラスチック使用料を約50%低減させています。また、従来のボトル容器に比べて液残りが少なく最後まで使うことができるため、さらに環境にやさしい容器となっています。

現在はアメリカのみでの販売となっていますが、今後は、その他の地域での展開も検討していきたいと考えています。

アメリカで販売されている「MyKirei by KAO」

アメリカで販売されている「MyKirei by KAO」。
使用後は容器外側の空気を抜いてコンパクトに処分することが可能

つめかえ習慣が普及している国内に向けては、つめかえ用容器「ラクラクecoパック」から直接液を出すことができる「らくらくスイッチ」を開発しました。つめかえずにそのまま使えるというだけでなく、スイッチを押すだけで一定量の液が出てくるなど、ユニバーサルデザインの観点でも優れた容器技術として、さらに幅広い商品への応用を検討していく予定です。

らくらくスイッチ

つめかえ容器の口の部分に接続してそのまま使える「らくらくスイッチ」

お互いの強みを強化できるパートナーシップ

──プラスチック循環社会やSDGsの推進に向け、ライバル企業との連携も進めているそうですね。

大谷 はい。花王は「リサイクリエーション(「アップサイクル」を意味する造語)」を通じて、循環型社会への新しいシステムやライフスタイルの提案を進めてきましたが、1社だけで資源循環型社会を実現することは不可能です。

一方で、つめかえ容器に使われているフィルム素材は複合材料からなるため、容器から容器へのリサイクルが難しくなるという課題もあります。

そこで、ライバルでもあるライオンさんと協業し、企業の枠を超えてフィルム容器のリサイクルに取り組むことにしました。回収の基盤となるしくみの構築とリサイクル技術の共同開発などにより、資源循環型社会を加速させていくことを目指しています。

花王・大谷さん写真2

「SDGsのゴールは1社だけでは達成できない。
協業には、1+1が2以上になるようなお互いの歩み寄りも大事」と話す大谷さん

──今後、SDGsの目標達成に向け、御社はどのように取り組みを進めていくのか教えてください。

大谷 当社の商品開発5原則の中に、「真に社会にとって有用か」という項目があります。当社は130年前から「売れる製品」ではなく、「社会に有用な製品」を作り続けてきました。創業以来守られてきたこの精神が、当社のものづくりのプロセスには組み込まれています。

ライバルや自治体とも手を携えながら新たな取り組みに挑戦し続けるのは、地球環境が限界にきている現代において、真に社会に有用とされる製品を生み出していくことが、当社の使命だと考えているからです。

当社が打ち出している「Kirei Lifestyle」の「Kirei(きれい)」という言葉は、「美しさ」や「清潔」という意味だけでなく、こころの状態や生きる姿勢もあらわしています。花王はこれからも、ステークホルダーはもちろん、同業他社や自治体とも「いっしょにeco」を推進しながら、持続可能な企業として、世界中の人々が外見だけではなく内面も豊かに充実したこころ豊かな暮らしが送れるよう、貢献していきたいと思っています。

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