クルマを通じて「笑顔をつくる会社」へ SUBARUが目指す持続可能な社会 企業のSDGs取り組み事例vol.57

2023年11月21日

高い技術力と品質で自動車事業と航空宇宙事業を牽引してきたSUBARU。"ありたい姿"として「笑顔をつくる会社」を掲げ、持続可能な社会の実現を目指しています。同社のSDGsへの取り組みについて、サステナビリティ推進部のおふたりにお聞きしました。

(右から)株式会社SUBARU サステナビリティ推進部 主査 秋山忠之さん、サステナビリティ推進部 小山恵子さん

ありたい姿「笑顔をつくる会社」は、SDGsへの取り組みそのもの

──御社がサステナビリティ(SDGs)への取り組みを強化した背景・経緯について教えてください。

秋山 当社は2017年、それまでの富士重工業株式会社から「株式会社SUBARU」へと社名変更し、「笑顔をつくる会社」を"ありたい姿"として掲げました。これは、モノに加えてSUBARUにしか提供できない「価値」を磨き、自動車と航空宇宙事業における、魅力あるグローバルブランドとして成長させていく決意表明でもあります。

当社が目指す「安心と愉しさ」という価値をお客さまに提供し続けていくためには、自動車の燃費、排気ガスなどの環境課題をはじめ、交通事故の減少、品質の向上など、サステナビリティの取り組みが欠かせません。そこで、あらためてグループ・グローバルの従業員の意思共有に向けて、2020年4月に「SUBARUグローバルサステナビリティ方針」を制定CSR重点6領域(※)の考え方に基づいたサステナビリティの実現へ向けた取り組みに、より注力していくこととしました。

※「人を中心とした自動車文化」、「共感・共生」、「安心」・「ダイバーシティ」、「環境」、「コンプライアンス」の6領域

「『笑顔をつくる会社』というSUBARUのありたい姿は、SDGsへの取り組みそのもの」と語る秋山さん

──御社はそれまで2009年6月に改定した「CSR方針」のもと、独自にCSRの取り組みを推進してきました。サステナビリティの実現を目指し、2015年に国連が採択したSDGsへの取り組みへの紐付けもされたのでしょうか。

秋山 CSR重点6領域ごとに貢献するSDGsを明確にしましたが、SUBARUグループのサステナビリティの実現に向けた取り組みは、SDGsのために新しくはじめたものではありません。

当社の前身は1917年に創設された「飛行機研究所」をルーツとする「中島飛行機」です。自動車よりもさらに、ひとつのミスが死に直結してしまう航空機を製造してきたメーカーのDNAを持つ私たちには、耐久性や安全性について脈々と受け継がれてきた技術と強い信念があります。

「交通死亡事故をゼロにしたい」「お客さまの期待に応えたい」というモノづくりと価値づくりが、持続可能な社会の実現と、SUBARUグループの持続的な成長につながっていくと考え、SDGsへの取り組みを推進しています。

たとえば、"ぶつからない"をサポートする、運転支援システム「アイサイト」は、まさにその代表的な存在です。SUBARUグループでは「2030年に死亡交通事故ゼロを目指す(※)」ことを掲げています。これはSDGsのゴール3ターゲット6、「2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる」ことに直接貢献します。

※SUBARU車乗車中の死亡事故およびSUBARU車との衝突による歩行者・自転車等の死亡事故ゼロを目指す。

SUBARUならではの視点で制定したSDGs領域

──創業時から培ってきた信念がサステナビリティの実現に向けた取り組みに直結していたのですね。17の目標と169のターゲットが定められているSDGsへの取り組みを、ビジネスの成長と発展にどうつなげているのか教えてください。

秋山 まずは社会的要請の高い41項目を「事業の強みを活かして社会に貢献する領域」と「社会の要請に応える領域」の2つの視点で評価・検討しました。

その上で、「事業の強みを活かして社会に貢献する領域」として、「人を中心とした自動車文化」「共感・共生」「安心」「ダイバーシティ」の4つを選定。また「社会の要請に応える領域」として、「安心」「ダイバーシティ」「環境」「コンプライアンス」の4つをそれぞれ選定し、「安心」と「ダイバーシティ」は重複するので合計6つの領域を「CSR重点6領域」として制定しました。

SUBARUグループでは、CSRの取り組みとビジネスは同軸で考えています。事業活動を通じて社会課題の解決に貢献していくことに重きを置き、SUBARUグループのあらゆるCSRの取り組みを議論する場として、「サステナビリティ委員会」を設置しました。代表取締役社長を委員長に、全役員がメンバーとして加わり、社会的側面からも事業を考察し、取り組み強化を図っています。

「社会貢献」を企業風土として根づかせたSUBARUの取り組み

地域交流で新たな価値を創出

──具体的な取り組み事例とその効果・反響についても教えてください。

小山 CSR重点6領域の中から、「共感・共生」の取り組みについてご紹介します。

お客さまのみならず地域社会は、企業活動を行っていくうえでの重要なステークホルダーです。これまでも当社は、事業を展開する地域社会で多くの人々に支えられてきました。そのため、「社会貢献」を企業風土として根づかせ、真に心のこもった活動を行いたいという考えのもと、地域の皆さまとのつながりを活性化し、共感・共生を基軸としたコミュニティの形成に力を注いでいます。

国内の各事業所においては、地域の皆さまとより良い関係を構築していくためにさまざまな活動を行っています。2022年度は、SUBARU群馬製作所の矢島工場内の壁にプロジェクションマッピングを投影するイベント「ハッピースマイルプロジェクト」を開催。従業員約50人が有志として企画・運営に参加して地域の子どもたちが描いた絵を投影し、多くの来場者に笑顔と感動を届けました。

自分が関わったイベントで多くの方の笑顔をつくることができたと手応えを感じている従業員が多く、地域の方の笑顔が、働く従業員の笑顔にもつながっている取り組みになっていると感じています。

群馬工場内でのプロジェクションマッピング

米国での社会要請に応える「Subaru Love Promise」

小山 続いて、海外での「共感・共生」の取り組みをご紹介します。
SUBARUは世界各地に拠点を擁するグローバル企業として、海外でも積極的な地域貢献活動を展開しています。その代表例ともいえる取り組みが、Subaru of America, Inc.(SOA)と全米のSUBARU販売店や各種慈善団体と共により良い社会づくりを目指す「Subaru Love Promise」です。

「AdoptAClassroom.org」とのパートナーシップによる教育設営支援

小山 「Subaru Love Promise」は、全米の販売店とSOAが一体となって進めている取り組みです。ステークホルダーへの愛と尊敬の念を行動に移していくことが社会とSUBARUのサステナビリティであるととらえて、Earth、Care、Help、Learning、Petsに対する5つの愛で構成された「Subaru Love Promise」を策定。その「Subaru Love Promise」の取り組みの一環として年に一度実施される「Share the Love Event」では参加する販売店と連携し、購入またはリースされた新車1台ごとに250ドルを慈善団体へ寄付する活動を行っています。この活動を通して、過去15年間で2億5,600万ドル以上を慈善団体へ寄付しました。

こうした取り組みが評価されて、「Halo Awards(※)」など、社会貢献活動に関する賞も複数受賞しています。

※Halo Awards:地域社会への貢献活動を通じて社会に大きな影響を与えた企業・団体に与えられる。

地域貢献の取り組みは、米国の消費者から高い評価を獲得

また、地域コミュニティの発展に最も熱心な企業50社を選ぶ「Civic 50」ではSUBARUの地域貢献の取り組みの深さが認知され、3年連続で選出となったほか、米国で最も評判の良い100社をランキングする「Axios Harris Poll 100 Reputation Rankings」では、自動車メーカー部門トップ3、総合ランキング16位に選ばれ、米国の消費者から高い評価と信頼を得ていることが示されました。

「SDGsの機運の高まりとともに、国内でも積極的に地域活動に参加する社員が増えた」と話す小山恵子さん

クルマを通じて豊かさと愉しさを提供し続ける会社でありたい

──国内外で幅広くサステナビリティの実現へ向けた取り組みを展開し、高い評価も受けていらっしゃいますが、将来を見据えたSDGsへの取り組みにはどのような課題があるとお考えでしょうか。今後の展望とビジョンについても教えてください。

秋山 SDGsの取り組みは、グループ・グローバルで同じ熱量を持ち続けながら、着実に推進していかなければいけません。本社のサステナビリティ推進部が主導して策定した方針や考え方を、SUBARUの国内外の子会社や販売特約店で働く従業員すべてが認識・理解することで、初めてサステナビリティの実現に向けた取り組みが浸透できると考えています。その上でCSR重点6領域をしっかり進め、SDGsに貢献していきます。

6月に大崎 篤がCEOに就任し、新体制となりました。その新体制で掲げている「モノづくり革新」と「価値づくり」を中心とした「重点取り組み」と「CSR重点6領域」を両輪として、SUBARUらしい活動を積極的に行うことで、ステークホルダーの笑顔をつくり、持続的な成長と愉しく持続可能な社会の実現を目指していきます。

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筆者プロフィール
講談社SDGs編集部

SDGsをより深く理解し、その実現のために少しでも役立てていただけるよう、関連する知識や事例などの情報をお届けします。

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