2024年05月15日
ソニーの金融グループのダイレクト保険会社として、先進的で質の高い商品やサービスを提供しているソニー損保(ソニー損害保険)。SDGs達成への思いと具体的な取り組みについてお聞きしました。
ソニー損害保険株式会社 経営管理部 広報担当 加藤玲奈さん
──御社は損害保険事業を通じ、お客さまに長期にわたる安心を提供し続けています。サステナビリティの重要性がますます高まる中、御社がSDGsへの取り組みを推進しようと考えた理由と経緯について教えてください。
加藤 損害保険制度は、「小さな負担でいざという時に大きな安心を得ることができる」という相互扶助の精神に基づいた仕組みです。私たちは、この損害保険事業を適切に遂行し続けることを社会的責任と考えています。加えて、お客さまが安心・安全に暮らせる社会に貢献すべく、さまざまな領域でSDGs達成に向けた取り組みを進めてきました。
ひとつの契機は、SDGsが誕生する(2015年)以前の2008年末、自動車保険の保有契約件数が100万件を超えたことです。これを機に、社会的責任をこれまで以上に意識し、より環境負荷軽減を目指した取り組みも開始しました。
さらに、近年はお客さまが安心して暮らせるよう、お客さまの安全運転もサポートし、「交通事故を起こさない社会」の実現への貢献にも力を入れています。
──自動車保険における損害保険会社の役割は、万が一事故を起こしてしまった時の経済的・精神的負担をゼロに近づけることです。御社の自動車保険に入ることで、「交通事故を起こさない社会」の実現にもつながるというのは、非常に興味深いです。
加藤 おっしゃる通り、自動車保険は、事故が起きた時にお客さまをサポートすることが重要な任務です。この責務を遂行しつつ、当社はソニーグループらしい自由闊達な発想で、自動車保険の新たな価値を提供するモビリティ・サービスを提供することで、お客さまが安心・安全に暮らせる社会の実現も目指していこうと考えています。
「ソニーグループの強みをいかし、ほかの保険会社にない商品やサービスの創出に向けて取り組みを進めています」と加藤さん
──「交通事故を起こさない社会」のために、具体的には、どのような取り組みをされているのですか?
加藤 まずは、ソニーグループのAIやセンシング、クラウドコンピューティングなどの先進テクノロジーを用いた、運転特性の計測ができる「GOOD DRIVEアプリ」をご紹介します。
「GOOD DRIVEアプリ」は、2020年3月に販売開始をした運転特性連動型自動車保険の「GOOD DRIVE(現:安全運転でキャッシュバックプラン)」を契約されているお客さま向けに提供しているスマートフォンアプリです。
ドライバーの運転特性の計測による「運転スコア(事故リスクの度合い)」と、それに応じた「運転アドバイス」「走行記録」を表示。ゲーム感覚で運転スコアを上げることで、事故リスクの低減に取り組むことができます。
「GOOD DRIVEアプリ」の画面イメージ。左から「運転スコア」「運転アドバイス」「走行記録」
また、同アプリが計測する「運転スコア」に応じて、保険料のキャッシュバックが受けられるようになっています。
なお、2022年1月からは、ソニー損保の自動車保険の契約有無にかかわらず、スマートフォンをお持ちの方ならどなたでも、無料でダウンロードしてお使いいただけるようにいたしました。このアプリをできるだけ多くのドライバーに使っていただくことで、ドライバーひとりひとりの事故リスクの低減を通じた、交通事故の少ない社会の実現に貢献できればと考えています。
──安全運転がキャッシュバックにつながる。利用者にメリットを設けることで、ゲーム感覚で利用しながら、自然と安全運転の意識が高まっていく設計になっているのですね。
加藤 はい。現在、Androidだけで既に10万件以上もダウンロードされていますが、約74%の方にご満足いただいているというアンケート結果が出ています。「社会のため」という義務感や強制ではなく、楽しみながら、しかもキャッシュバックというインセンティブが得られるところも、高い評価をいただけている理由のひとつと考えています。
なお、アンケートの自由回答では、
「安全に運転しようと意識するようになりました。ありがたいです。[60代|岐阜県]」
「自分が予想していた以上の精度で運転履歴を計測してくれるので、毎回の運転の際にどのポイントに気をつけないといけないかが明確化されるので助かっている。[30代|千葉県]」
「点数を高くするために、必然的に安全運転するので、とてもいいと思います。[20代|兵庫県]」
など、アプリが安全運転への意識向上につながっている様子がうかがえました。またこの結果は、私たちの商品が、安心・安全に暮らせる社会へ貢献できていると、社員のモチベーションの向上にも寄与しました。
──2008年末を機に、環境教育を通じた環境負荷軽減への貢献を目指した取り組みを推進するようになったというお話もありました。そちらについても教えてください。
加藤 はい。ソニー損保では、自動車保険の保有契約件数100万件(2008年末に達成)をきっかけに、未来の子どもたちが安心して暮らしていけるよう、2009年3月から「幼稚園にソーラー発電所を☆プログラム」と名付けた環境保全に向けた取り組みを行っています。
これは、排気ガスの削減と子どもたちの環境に対する関心を高めることを目的に、環境教育を行うNPO法人そらべあ基金との協業で、太陽光発電設備「そらべあ発電所」を全国の幼稚園・保育園・こども園に寄贈する活動です。
活動開始から約15年で、累計37基の太陽光発電設備を日本国内の保育園や幼稚園・こども園に寄贈してきました。
左上・寄贈したソーラーパネル。右上・発電量をチェックできるモニター。
左下・環境問題に関するクイズに答える子どもたち。右下・手回し発電機による発電体験
「幼稚園にソーラー発電所を☆プログラム」は、自動車保険の「くりこし割引」と連動したプログラムとなっています。
弊社では契約の際、お客さまに1年間の予想走行距離を入力していただきます。実際に走った距離がご契約時に予想した距離より少なかった場合、予想よりCO2排出量は減り、環境保全に貢献されたことになります。この環境保全への貢献をさらに大きくできるよう、ご契約時の予想より走らなかった距離の総計をもとに定めた額を、ソニー損保がそらべあ基金に寄付。そらべあ基金はその寄付金を活用して、全国の幼稚園や保育園・こども園を対象に太陽光発電設備を設置するほか、環境教育を提供しています。
寄贈先の園からは、「子どもたちが環境について学んだことを親に話した」「子どもが自分でできる環境活動を考えて取り組んでいる」など、うれしい感想をいただいています。
また、設置式典には近隣の事業所にいる社員も参加するようにしているのですが、「子どもたちが環境について真剣に学んでいる姿を見て、自分もできることを行動に移そうと思った」など、社員のSDGsへの取り組み意識を高める効果も生まれています。
──子どもを通じて、親御さんにも、社会に優しい「ソニー損保」のイメージが浸透する可能性も十分にありそうです。最後に、SDGsへの取り組みについて、今後の展望を聞かせてください。
加藤 「サステナビリティ」は重要な経営課題のひとつと位置づけており、今後もより一層の推進を図っていく考えです。また、損害保険のサービスや保険金支払においても、まだまだお客さまへの安心感や納得感などの価値を高められると思っています。
たとえば、これまで「手話・筆談サービス」や「外国語事故対応サービス」などのアクセシビリティ向上に取り組んできましたが、今後もより推進していきたいと思っています。加えて、火災保険の「ドローン活用」や自動車保険の「ドラレコ活用」による迅速で納得感のある損害調査など、先進技術活用や仕組み作りによって、より良いサービスを提供していけると考えています。
ソニー損保の強みは、これまで培ってきた「人ならではの高品質なサービス」や「商品の合理性、独自性、先進性」にあります。その強みを、お客さまにとって価値ある「違い(魅力)」をビジネスのあらゆる領域において創造し、お客さまに提供していくことが私たちの存在意義です。これからも、事業を通じた価値創造によって、誰もが心豊かに暮らせる持続可能な社会の発展に貢献していきたいです。
筆者プロフィール
講談社SDGs編集部
SDGsをより深く理解し、その実現のために少しでも役立てていただけるよう、関連する知識や事例などの情報をお届けします。