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ジャーナリストの浜田敬子さんが基調講演に登場! 国際女性デー2024イベント「Invest in women: Accelerate progress -女性に投資を-」レポート

2024年06月17日

注目度が年々高まる「DEI」。3月25日には、株式会社An-Naha主催でみなとみらいにある日揮ホールディングスにて、神奈川県内企業のダイバーシティ&インクルージョン促進イベント「Invest in women: Accelerate progress -女性に投資を-」が開催されました。当日の様子をレポートします。

「国際女性デー」を象徴するミモザカラー(黄色)で彩られた会場。イベントには、会場ともなった日揮ホールディングスをはじめ、協賛する神奈川県内に拠点をおく企業のDEI担当者など多数が参加した

今回のイベントは、3月8日の「国際女性デー」に合わせて開催。各グループのテーブルにももったいないフラワー(廃棄予定だったロスフラワー)が飾られ、華やかな空気のなかスタートしました。

当日は「女性に投資を」をテーマに、ジャーナリストの浜田敬子さんによる基調講演、協賛・協力企業3社のゲストによるパネルディスカッション、参加者同士のグループディスカッションの3部構成で行われました。

第1部:基調講演〜女性が自信を持てないのは「打席に立つ機会」が圧倒的に少ないから〜

第1部の基調講演に登壇したのは、ジャーナリストの浜田敬子さん。
「Why is"Invest women"?(なぜ「女性の投資」が必要なのか?)」というテーマで講演を行いました。

(浜田敬子さんプロフィール)
ジャーナリスト、前Business Insider Japan統括編集長、元AERA編集長。
1989年に朝日新聞社に入社。99年からAERA編集部。副編集長などを経て、2014年からAERA編集長。2017年3月末に朝日新聞社を退社後、世界12カ国で展開する経済オンラインメディアBusiness Insiderの日本版を統括編集長として立ち上げる。2020年末に退任し、フリーランスのジャーナリストに。2022年8月に一般社団法人デジタル・ジャーナリスト育成機構を設立。2022年度ソーシャルジャーナリスト賞受賞。2023年10月からBリーグ理事も務める

「AERA」での原体験。多様性が開拓する、新たな顧客

はじめに、浜田さんは新卒で入社した朝日新聞社での経歴を紹介。長時間労働があたりまえで男女格差が根強く残っていた時代に、女性が働くことがいかに大変だったかを語りました。

そんな浜田さんの転機となったのは、入社して10年目。雑誌「AERA」編集部への異動でした。

当時「AERA」は、朝日新聞社の中では比較的女性の多い部署だったといいます。それまで所属していた男性が多い部署に比べて、女性が多い「AERA」は、発言がしやすいと感じたそうです。さらにこれまでになかった発想の企画が次々と提案され、それが部数増加につながったそうです。

「働く人たち、さらには意思決定層に多様性があると、まだその企業が気づいてないお客様を開拓できたり、マーケットを新しく作ったりできるのではないか」という浜田さんの発言に、会場中の参加者が大きくうなずいていました。

AERAでは多くの海外取材を経験するなどした浜田さんは、「女性にはぜひ、『場数を踏む』『打席にたくさん立つ』という経験をしてほしい」と話しました。

146ヵ国中125位。日本はジェンダー後進国

続いて浜田さんが話したのは、世界と日本のジェンダー・ギャップについてです。

ジェンダー後進国と言われている日本の現状について説明し、なぜ日本のジェンダー・ギャップ指数がこんなに低いのか、具体的にいくつかの日本企業を例にあげながら解説しました。また、グローバルの事例もあげ、ジェンダー・ギャップランキングの高い国は国際競争力も上位であると説明しました。

146ヵ国中125位となった、2023年の日本のジェンダーギャップ指数(男女共同参画局ホームページより)

ダイバーシティ対策は人権問題対策

2015年にSDGsという目標が設定され、多くの企業がSDGsへの取り組みを進めるなか、新しく「ビジネスと人権」という潮流も生まれていると浜田さん。

「日本企業は気候変動対策には力を入れていますが、ビジネスと人権という問題に取り組む企業が少ない。ビジネスと人権にはジェンダーギャップ解消も含まれているので、ジェンダー不平等を放置していると、グローバルから大きく遅れをとる」と強調。結婚しても仕事をしている女性が増えた今、男性が家事育児に参画しやすくする社会をつくっていくことも大事だと語りました。

自身のキャリアを交えて、DEIについて話す浜田さん

日本の労働力不足問題に寄与する、女性人材

同質性のリスク回避だけでなく、お客さまや社会に多様なニーズがあるいまは、組織の中にも多様な人材がいたほうが強い、と浜田さん。
「日本の労働力不足問題をとっても、女性という人材を無駄にするのはすごくもったいない」と話しました。

最後に浜田さんは、「女性の上司は嫌だ、という男性の意見も昔は聞きましたが、いまは女性上司の数が増え、それがあたりまえの世の中です。
時代とともに求められるリーダ像も変わってきているので、多様性のある組織で、自分に自信のもてる仕事をしてほしい」とまとめ、講演は終了しました。

第2部:パネルディスカッション

第2部は、主催の品川さんがモデレーターを務め、協賛企業の代表として日揮グローバル株式会社 執行役員/エネルギーソリューションズプレジデント 込山宏さん、株式会社大林組 グローバル経営戦略室 ダイバーシティ&インクルージョン推進部長 中沢英子さん、企業のDE&Iの推進をサポートする立場として株式会社ピクニックルーム 代表取締役 後藤清子さんが登壇。3名それぞれの視点から、「Invest in women」の意味や重要性について語り合いました。

第2部の登壇者:(左から)モデレーターを務めた、主催者の株式会社An-Nahal 代表取締役 品川優さん、日揮グローバル株式会社 執行役員/エネルギーソリューションズプレジデント 込山宏さん、株式会社大林組 グローバル経営戦略室 ダイバーシティ&インクルージョン推進部長 中沢英子さん、株式会社ピクニックルーム 代表取締役 後藤清子さん


「女性に投資を」。各社のダイバーシティの取り組み

冒頭に、品川さんから「みなさんの会社ではどのような取り組みをされていますか?」という質問から幕を開けたパネルディスカッション。その一部をご紹介します。

日揮グローバルの取り組み

海外の施設の設計・建設などを行う、日揮グローバルの込山さんは「当社は海外で仕事をすることが基本になっているので、海外に行きやすくなる、あるいは行って活躍する人をサポートすることを目的としている」と語り、さらに「働き方もライフステージでの価値観も多様化している世の中で、ライフスタイルの変化に応じたサポートを留守家族、あるいは駐在される方に配偶者が同伴する場合は、一緒に行かれる家族のケアをやっていくという形で取り組んでいる」と、自社の取り組みを紹介しました。

一方で、課題として「多様な働き方」を挙げ、「建設業、エンジニアリング業務では、女性が次のステップに上がろうとするときに障壁が高く、諦めてしまうケースがまだある」と、業界が抱える課題を共有しました。

大林組の取り組み

同じく建設業の大林組の中沢さんは、「育児休業中はどうしても子どもと母親だけになってしまい、会社に勤めていても孤立感を感じる方が多くいる。そこで毎週30分『トークカフェ』を始めた」と語り、そのなかで「ダイバーシティの取り組みは、誰も来なくてもやるという姿勢を示すことで、絶対に孤独にさせないという会社の姿勢を示すことにつながると感じた」と話しました。

ピクニックルームの取り組み

企業主導型保育事業などを展開する株式会社ピクニックルームは、子育て支援サービスを企業に提供しています。後藤さんは「女性活躍推進においては、子育て支援が一番わかりやすい(利用しやすい)こともあり、企業規模を問わず、試験導入が進んでいる」と、DEI推進の方法を模索する企業の最新動向を語りました。

この会のなかで、品川さんは「働き続けることの難しさを、そもそも会社に言えないケースもある」と、いわゆる「隠れ介護」の問題にも言及。最後には、「今日ここにいる方々は多分仲間。悩んでしまうようなことも、一歩踏み込む時間として、今日の時間を活用してほしい」と、参加者にエールを送りました。

・・・・

パネルディスカッションの後には、参加者によるグループディスカッションが行われました。参加者同士が日頃の取り組みや感じていること、本日の学びを共有しながら、活発な議論を交わし、イベントはその幕を閉じました。


●開催概要

イベント名:Invest in women: Accelerate progress -女性に投資を-
⽇時:2024年3⽉25⽇(⽉)15:00-17:00(交流会17:00-18:00)
主催:株式会社An-Nahal
協賛:⽇揮ホールディングス株式会社、東芝プラントシステム株式会社、株式会社アイネット、ボッシュ株式会社、シミックホールディングス株式会社、株式会社横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜)、ヤマハ株式会社、株式会社⼤林組、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ

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