2020年10月16日
SDGsを最重要課題に掲げ、積極的に取り組む企業や自治体が増えています。一方で、SDGsへの取り組みをうまく伝えられない、という悩みを耳にする機会も増加しています。
その課題解決に、講談社のマンガ・絵本のキャラクターを活用する方法があります。「SDGsのコミュニケーションを促進させるキャラクター使用」について、ライツ・メディアビジネス局 コミュニケーション事業第三部 西原 剛が解説します。
ライツ・メディアビジネス局 コミュニケーション事業第三部 西原 剛
──講談社では、すでに多くのパートナー企業とさまざまな取り組みを進めている女性向けワンテーママガジン『FRaU』を筆頭に、さまざまな媒体でSDGsの啓蒙・発信をサポートしています。今回、「キャラクターを使った企業のSDGsへの取り組み発信サポート」メニューが生まれた経緯を教えてください。
西原 今年8月に発表された、ジャストシステムの調査「マーケターのSDGsへの取り組みに関する実態調査」によれば、アンテナ感度が高いマーケターでも、「SDGsについて説明できる」と回答したのは24.7%という結果でした。これは、それくらいSDGsというのは"説明することが難しいもの"であることを証明していると思います。
ジャストシステム社が行った「マーケターのSDGsへの取り組みに関する実態調査」より抜粋 ※調査対象:事前の調査で「企画・マーケティング・販売促進」を担当していると回答した20歳から59歳会社員の男女348名
SDGsは、2015年9月に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」の英語表記の略です。この目標は、貧困や飢餓、テロや紛争、社会的格差、気候変動など、さまざまな問題を背景に、このままでは地球がもたないという強い危機感から誕生しました。掲げられた17のゴールは、2030年までに達成を目指そうとする、地球からの世界共通の宿題といえます。
そのSDGsの特徴のひとつとして、「持続可能」というキーワードが挙げられます。これは「事業」も同様であり、ビジネスと社会貢献を両立することがSDGsにおいては重要です。
SDGsの企業行動指針を示した<SDG Compass>にも、「SDGsは、たとえば、企業が資源をさらに効率的に利用し、あるいは、より持続可能な代替策に転換するような、経済的なインセンティブを強化する」と記載されており、加えて「顧客や消費者との関係を強化できるメリットがある」と明示されています。
ならば、自社のSDGsの取り組みを広く発信しないことは、いわば「機会損失」といえるのではないかと感じました。また、<SDG Compass>には「効果的な報告とコミュニケーションを行う」とありますから、発信することそのものがSDGsの一部だともいえます。しかしマーケターですら、説明しづらいのがSDGs。どうすれば、"わかりやすく"伝えられるかを考え、「キャラクター活用」というアイデアにたどり着きました。
サービスメニュー「マンガ、絵本コンテンツの活用」はこちら
──2020年1月、国連の「SDGメディア・コンパクト」に加盟した講談社にとっては、企業のSDGs活動の発信サポートも、自社のSDGs活動のひとつといえそうです。そのなかで、「企業のSDGs活動のPRとして、キャラクターを起用する」というのは、実に講談社らしい発想ですね。
西原 企業がどのような商品やサービスで社会課題を解決しているのかを積極的に伝えることは、自社のスタンスをより明確に伝えるためにも、今後さらに重要になってくると思います。しかし「自社のSDGsへの取り組み」を、ステークホルダーに広く届けることは、決して簡単ではありません。
たとえばマンガには、端的かつ的確に情報を届けられるというメリットがありますよね。その強みを活かすことで、課題を解決できる可能性があると考えました。
まず、老若男女から支持されている講談社のマンガキャラクターたちなら、幅広いターゲットに対して、アプローチをすることが可能です。さらに、人気マンガのキャラクターを活用すれば、それだけ注目度も高まり、より記憶に残りやすい発信が実現するのではないでしょうか。
マンガのキャラクターを活用すれば、企業のSDGs活動を"わかりやすく、広く"伝えることができる
──マンガのキャラクターをSDGsの発信に使うことで、ほかに、どのような効果が期待できるでしょうか。
西原 マンガのキャラクターが発信するメッセージや体験は、受け手が自分自身と重ねやすく、「共感」が生まれます。SDGsは、「自分ゴト」として捉えることがいちばん重要ですから、マンガキャラクターを通じた疑似体験が、共感に変わるというのは、SDGsの活動訴求に非常に効果的だと思います。
また、マンガには、作品ごとにストーリーがあり、世界観があります。よく知っているキャラクターが登場すると、受け手はその作品のストーリーや背景までをも思い浮かべるので、少ないメッセージで多くの内容を伝えることが可能です。
加えて、ビジュアル+セリフで構成されるメッセージは読みやすくわかりやすいため、内容への理解も深まりやすく、社内のSDGs教育などにも、効果を発揮すると考えています。
──具体的には、どのような作品とのコラボが考えられますか。
西原 人気・知名度が高く、活用イメージを想起しやすいという点では、『島耕作』はおすすめですね。ビジネスのイメージもありますし、何よりも、島耕作の言葉には説得力がありますから。
『島耕作』を活用した発信イメージ。企業のSDGs担当者による対談風記事
島耕作が企業の社長やSDGs担当者と対談して、その企業のSDGs取り組みを聞く、もしくは、これからSDGsに取り組む企業に島耕作が「相談役」として相談に乗るなど、さまざまな展開が考えられます。
また、2021年1月に第2シーズンのアニメ化が決定している大人気作品『はたらく細胞』なら、細胞目線で企業のSDGsへの取り組みを解説するようなコンテンツを作ることが可能でしょう。
ほかにも、SDGs活動を知ってもらう入口として、誰もが知っている作品のキャラクターを起用することも効果的だと考えています。たとえば『五等分の花嫁』、『進撃の巨人』、『金田一37歳の事件簿』、『東京タラレバ娘』などの人気作品のキャラクターは、知名度と共感性の高さで、SDGsを「自分ゴト」化するのに大いに有効だと考えられます。
さらに"SDGS色"が強いものをご要望の場合、現在『なかよし』で連載中の『東京ミュウミュウ オーレ』がおすすめです。同作は、5人の主人公が地球の環境悪化を目論む敵と戦い、地球環境を守るという、SDGsストーリーです。授業でSDGsを習っている小中学生にとっては、非常に親和性が高い作品だといえるでしょう。
──絵本のキャラクターを使用したSDGs活動訴求は、どのようなメリットが考えられますか。
西原 絵本は、親子三代に渡って読み継がれている作品も多く、幅広い年代へのアピールが可能です。また、世界観が確立されているので、「その世界観を守るためにSDGs活動に取り組んでいます」という説得力のある展開が可能です。
たとえば、ロングセラーの『にじいろのさかな』は、世界でいちばん美しい、にじいろのウロコを持ったひとりぼっちの魚が、その美しいウロコを分け与えることで周囲の魚と仲良くなっていく物語です。日本語訳を担当しているのは、日本を代表する詩人・谷川俊太郎さん。この作品を活用すれば、「海の豊かさを守ろう」や「パートナーシップで目標を達成しよう」に絡めて、自社の取り組みを深く訴求することもできるのではないでしょうか。
「にじいろのさかな」
作・絵: マーカス・フィスター 訳: 谷川 俊太郎
子どもから大人まで楽しめる幅広いジャンルのメディアを持つ講談社では、多種多様な業種に対応できる作品を取り揃えています。また、ご要望に応じて、完全オリジナル作品の描き下ろしもご相談可能です。ぜひ、自社のSDGsへの発信にお悩みの方は、講談社のマンガ・絵本作品のキャラクターと一緒に、SDGsの輪を広げていきましょう。
なお、詳しい使用条件などをまとめた資料をご用意していますので、ご興味のある方はぜひ、サービスメニューをご覧の上、お気軽にお問い合わせください。
詳細は、「マンガ、絵本コンテンツの活用」メニューをご覧ください。