2020年01月21日
LEVC Japanは、LEVC新型タクシー「TX」の予約注文を2020年2月1日から日本で開始することを発表しました。70年のロンドンタクシーの歴史の中で、初の電動化モデルとなる「TX」。排気ガスなどの環境問題や車いすに配慮した、未来へ向けたタクシーの登場です。カーシェアリングをはじめとする法人需要や環境対応など、転換期をむかえている自動車業界で、どう受けとめられるでしょうか。さらに、先行するジャパンタクシーとの差別化は?>
「TX」は、都市部の移動に最適な条件を満たすために、ゼロから設計されたタクシーです。今回、従来モデルにおいて以前より定評のあった「すべての乗客に対して使い勝手のよいインテリア」に、さらなる進化を遂げての登場となりました。その特徴は、大きく3つあげられます。
・レンジエクステンダー式ドライブトレインを採用
・アルミニウム製フレームに新工法の接着式を採用し軽量化を実現
・すべての乗客に対して使い勝手の良い装備を標準装備
いかに排気ガスを減らすことができるかをテーマに、カーシェアリングや電動化などかつてない変革を遂げる自動車業界。そんな中LEVC が取り入れたのは、「e-city」と呼ばれる新しいレンジエクステンダーシステム(EVの航行距離を伸ばすために、補助としてガソリンで発電できる機能)です。3気筒・1500ccのガソリンエンジンを発電用に、駆動方式は100%のモーター駆動となっています。
このシステムの採用により、バッテリーのみの走行距離が130キロ、つまり排気ガスゼロで130キロの走行が可能となります。2018年1月以降、生産されたTXは、従来モデルに比べて、すでに3万トンのCO2削減を達成しているといいます。
充電の設備がなくても、600キロの走行が可能。各種充電設備に対応するオンボードチャージャー、エネルギーの最適化を図る3つの運転モード、 2段階式回生ブレーキの搭載など、都市部の大気環境に特化した性能を備えています。
また、主要サービスインターバルは、2万4000km毎を実現。英国のTXドライバーは、従来のモデルに比べ、1週間の燃料費コストを100ポンド削減できたといい、メンテナンスコストと燃料コストの節約にもつながるとしています。
レンジエクステンダー化による車両の重量増を抑えるために、ボディの基本骨格はアルミニウム製となり、溶接を一切行わない独自の接着焼付工法にて製造されています。航空機などに採用されている工法で、溶接の2倍の強度があると言われます。ボディ外板は特殊繊維素材にて成形され、高い耐久性と対候性、そして車両重量の低減化を実現しています。
新型「TX」は、タッチスクリーン式インフォメーションパネルや、各種ドライバーアシスタンスシステム、静かで洗練されたEVならではの運転特性を備えています。
さらに、十分なスペースのラウンジシートや、明るく広々とした室内、プライバシーにも配慮した室内空間、各種電気機器が充電できる充電ポートの装備など、ドライバーからも乗客からも好まれる空間にこだわって設計されています。
また、車両床面に設置されるスライド式スローブにより、車いすの乗客に対して優れた乗降性能を備えています。スロープは最大で250kgまでの重量に耐え得る設計。さらに観音式ドアを採用することにより室内幅の最大化と、乗降時の乗客への身体的負荷を低減化しています。同時に介助時のドライバーへの負担の低減も考えられています。
旧型より好評だった回転式リアシートも、格納式ステップと同時に使うことにより、利便性に優れた乗降機能を実現しています。
LEVC社は、旧LTI(London Taxi International)社より名称をLEVC(London EV Company)へ2017年に変更。2013年2月より浙江吉利控股集団(ジーリーホールディンググループ)傘下となり、本社をイギリス・コヴェントリー近郊のアンスティに構えています。年間生産台数は3500台(2019年度実績)。
販売価格は11,200,000円(税込)で、国や自治体の補助制度にも対応。ジャパンタクシーとの価格差はそれなりにありますが、その点について同社は「よりハイクラスな需要を目指している」と言っています。お客様への配車は2020年6月頃を予定されています。