講談社ではこれまでに、SDGs(Sustainable Development Goals:エスディージーズ)への取り組みを進める先進企業への取材を重ねてきました。
ユニリーバ・ジャパン、コーセー、シチズン時計、メルカリなど、業種を超え、各社は自社の事業と紐付けることで、SDGsへの取り組みを進めており、「その効果を実感している」という声を多く聞いています。なかには「SDGsに取り組まないことはリスクである」と話す企業もありました。
「今、ようやく企業や国もSDGsの必要性に気づきはじめていますが、私たちはもはや『取り組むべき』を通り越して『SDGsに取り組まないことはリスクです』と言っています」(2020.02.13 アッシュ・ぺー・フランス エシカル事業部 坂口真生さん)
※事例記事よりコメントを抜粋
なぜ、「SDGsに取り組まないことはリスク」なのでしょうか。それはSDGsがビジネスおよび経営に大きな影響を及ぼすからです。
→詳しくは「企業が取り組むSDGs」ページをご覧ください。
SDGsには17個の目標(ゴール)が設定されています。これらの目標は、スケールが大きく、一見分かりにくいという声もあります。取り組むための第一歩は「理解」すること、そして「自社とSDGsの相関関係」を見つけること。SDGsの目標のひとつひとつを読み解いていけば、自社のビジネスと関連のあるキーワードが自ずと浮かび上がってくるはずです。
今、多くの企業がSDGsの目標達成につながる取り組みを始めています。これからどう着手すればいいのか、どのようにアプローチすべきなのか。そんな悩みを抱えているのならば、まずは「SDGsとは何か」そして「17個の目標」について、その理念を正しく知ることが大切です。それぞれが、どのようなビジネスやキーワードと関連しているのかを見ていきましょう。
SDGsは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称です。2001年に策定された「ミレニアム開発目標(MDGs)」の後継として、2015年9月に国連サミットで採択された国際目標です。
MDGsは、開発途上国の経済・社会面での包括的な開発目標で、2015年の目標年には一定レベルの成果を収めましたが、一部の地域の開発が取り残されるなどの課題もありました。MDGsで未達成だった目標や地球規模で向き合うべき新たな課題に対し、達成すべき目標として「SDGs」は掲げられました。
SDGsは、17の目標と169のターゲット(目標ごとの解決課題)から構成され、地球上の「誰一人取り残さない(Leave no one behind)」ことを誓っています。開発途上国だけでなく、先進国も取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、さらには国、企業、NPO、個人まですべてが協力して、経済・社会・環境の3つのバランスがとれた社会をめざす、世界共通の目標です。
同じく2015年に合意された温室効果ガス排出の枠組みである「パリ協定」とともに、SDGsは世界の共通言語となっています。持続可能な開発という共通の目標に向けて世界が大きく動きだした今、SDGsはよりよい未来に向けて、国や企業間での対話やパートナーシップを促すカギと言えるでしょう。
日本政府も「SDGs推進本部(本部長:内閣総理大臣)」を2016年に設置。SDGsをすべての人々が関わる普遍的な目標と位置づけ、企業も含めたあらゆる人々の取り組みを示す「SDGs実施指針」を策定しました。また、SDGs推進に向けた具体的な施策である「アクションプラン」を毎年公表。「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」などへの支援も行うなど、目標達成に向けて力を注いでいます。
このように世界が、そして国が一丸となって、SDGsの達成に向けて歩みを進めるなか、SDGsと無関係でいられる企業は一社も存在しません。世の中が向かう先にSDGsという達成目標がある今、未来に生き残る持続可能な企業であるためにも「SDGsに取り組む」ことが求められています。
まずは、17の目標を知るところから、始めましょう。
国際貧困ラインと言われる、1日1人あたり1.9米ドル未満で生活している人は、世界に約7億人。貧困は、生きていくために必要な食べ物や水だけでなく、教育や雇用、医療の機会も奪うなど、さまざまな問題にリンクしています。
日本で暮らしていると、「貧困」は遠く感じるかもしれません。しかし、開発途上国に多く見られる「絶対的貧困」だけでなく、先進国ではそれぞれの国の生活・文化水準に満たない状態である「相対的貧困」が課題に。相対的貧困は見えにくいために支援の手が届きにくく、また子どもの貧困は教育の格差を生み、それが経済的な格差につながり、ゆくゆくは国の税収の低下、国全体の経済力の低下に結びつくという問題があります。意外かもしれませんが、実は、日本は相対的貧困率が日米欧主要7ヵ国のなかで、アメリカに次いで2番目に高い国なのです。※
※ 「OECD経済審査報告書」(2017年)より
絶対的貧困にある国や地域への支援はもちろん、そこに住む人々の経済的な自立を支える仕組みづくり、さらには日本国内の相対的貧困の解消に向けた仕組みづくりや啓発なども、この目標に当てはまります。
貧困の解消はもちろん、教育、雇用や医療など、さまざまな分野の課題解決にもつながるこの目標に取り組むことは、事業を通じて社会に貢献する「CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)活動」としても高く評価されるでしょう。また、企業イメージの向上によるステークホルダーとの結びつきの強化はもちろん、ESG(Environment Social Governance:環境・社会・ガバナンスの頭文字を取ったもの)投資や資金調達の面にも有利に働くことが期待されます。
など
農業、林業、漁業/建設業/各種製造業/電気・ガス・熱供給・水道業/情報通信業/卸売業、小売業/金融業、保険業/教育、学習支援/医療、福祉など
※対象となっていない業種も当てはまる場合があります。SDGsに取り組む目安としてご活用ください。
世界では飢餓に苦しむ人がおよそ8億人。全人口のおよそ9人に1人が栄養不良に陥っているとも言われています。最も深刻なのは、アジアとアフリカ。飢餓をなくすには、アジアやアフリカに5億軒もある小規模な農家の生産性を向上させる対策が必要です。また、生態系を守り、持続可能な農業をつくりだす方法も求められています。
この目標のターゲット(具体的な目標)には、日本でも身近な課題である「若年女子、妊婦・授乳婦および高齢者の栄養ニーズへの対処」や「持続可能な農業」というキーワードが含まれています。また、開発途上国で飢餓が深刻な問題になっている一方、日本などの先進国では、食料を消費しきれず廃棄せざるを得ない「フードロス(食品ロス)」の問題を抱えているのが現状です。
アジアやアフリカの飢餓をなくすための支援プロジェクトなどはもちろん、国内での栄養ニーズに対する取り組み、農林水産業の後継者問題や乱獲による資源減少、フードロスなど幅広い課題への取り組みもこの目標に当てはまります。
消費者にとって身近な「食」への取り組みは、CSR活動として高く評価されるだけでなく、社会貢献意識の高い消費者の共感を得て、商品やサービスの認知度向上、さらには売り上げの向上につながることが期待できます。また、農業の生産性や栄養ニーズ、フードロスに対するイノベーティブなアイデアや取り組みは、新しい市場や仕組みを生みだすビジネスチャンスにつながるでしょう。
など
医療、福祉業/宿泊業、飲食サービス業/情報通信業/卸売業、小売業/教育、学習支援/その他のサービス業など
※対象となっていない業種も当てはまる場合があります。SDGsに取り組む目安としてご活用ください。
世界では、毎年560万人超の子どもが、5歳の誕生日を迎えられずに命を落としています。特に開発途上地域では、医療が十分に行き渡らず、本来なら予防や治療ができるはずの病気で多くの命が失われ、妊娠・出産時の女性や子どもの死亡率が高いのが現状です。
また、開発途上国だけでなく先進国でも、たばこやアルコール、薬物乱用、さらには交通事故や環境汚染などによって多くの人の健康が損なわれています。
こういった予防や治療が可能な病気や交通事故を減らすための活動から、望まない妊娠への対策をはじめ、性や生殖に関する知識を広めるアクションまで、健康と福祉に関する幅広い取り組みがこの目標に当てはまります。
助かるべき命と健康を守るための取り組みは、消費者、投資家、取引先、社員、就職希望者など、幅広いステークホルダーからの信頼獲得につながり、関係性の向上が期待できます。また、社会貢献意識の高い消費者に認知され、支持され、選ばれることで売り上げの向上につながるでしょう。
など
医療、福祉業/情報通信業/卸売業、小売業/金融業、保険業/学術研究、専門・技術サービス業/その他のサービス業など
※対象となっていない業種も当てはまる場合があります。SDGsに取り組む目安としてご活用ください。
教育は、よりよい暮らしや社会を実現するカギを握っています。しかし世界には、読み書きができない15歳以上の人が7億人以上いて、その約3分の2が女性だと言われています。
性別、経済力などにかかわらず、すべての人が質の高い教育を受けられるようにするのがこの目標です。教育によって、貧困の連鎖を断ち切り、経済格差やジェンダー格差を解消することは、SDGsのその他の目標達成にもつながっていきます。
義務教育の定められた日本では、高等教育でのジェンダー格差、就学前の教育の格差への対策が求められています。さらに、障がいの有無や経済力にかかわらず、さまざまな教育や職業訓練へアクセスできる機会を創出する取り組みなどもこの目標に当てはまるでしょう。
途上国の教育支援の取り組みは、企業が社会的責任を果たすCSR活動として幅広いステークホルダーに高く評価されます。また、ICTなどの新しい技術や仕組みを活かした教育分野でのイノベーティブな挑戦は、製品やサービスへの付加価値となり、新たなビジネスチャンスにつながることも期待できます。
など
教育、学習支援業/医療、福祉業/卸売業、小売業/学術研究、専門・技術サービス業/その他のサービス業など
※対象となっていない業種も当てはまる場合があります。SDGsに取り組む目安としてご活用ください。
女性というだけで学校に行けない、あるいは大人になる前に結婚させられるのが当たり前、という国が世界には存在します。
また、人身売買やあらゆる形態の暴力をふるわれるといった問題も根強く残っています。女性の迫害は開発途上国で特に深刻ですが、途上国・先進国にかかわらず、雇用や給与、家事・育児分担、財産に対するアクセス、意志決定への参画などで女性差別が行われているのが現状です。
各国を対象に、政治・経済・教育・健康の4分野について男女にどれだけ格差があるかを分析・スコア化して順位づけをする「ジェンダー・ギャップ指数」では、日本は153ヵ国中121位という結果でした(2019年)。日本でも、女性が十分に能力を発揮できるよう社会の制度や慣習を変えていく取り組みが期待されています。
日本の達成度が低い目標のひとつであるジェンダー平等への取り組みは、社員や就職希望者に"働きやすい企業"として認知され、結果的に優秀な人材確保につながるでしょう。また、女性登用に積極的な企業として、経済産業省と東京証券取引所が共同で選出した「なでしこ銘柄」の売上高営業利益率(売上高に占める営業利益)が高いというデータもあります。投資家や取引先などに対しても、信頼のおける優良企業であることをアピールできます。
など
全業種
世界の約10人に3人は、安全に管理された飲み水を自宅で使用することができないと言われています。また、10人に6人が、安全に管理されたトイレを使えず、約9億人が屋外排泄を続けているのが現状です。
今後、気候変動や人口増加の影響による水不足の悪化が懸念されるなか、安全な水をすべての人に届けるためには、途上国での上下水道施設や再利用の仕組みを整えながら、地球規模での自然環境保護・回復が必要になってきます。
上下水道がしっかり整備されている日本の場合、生活排水・産業排水の問題をはじめ、森林や河川などの生態系の保護・回復など身近な課題への取り組みもこの目標に当てはまります。
企業のバリューチェーンにおいて、河川や森林の環境保全や生態系保護などに貢献するというサステナブルな取り組みは、ESG投資の側面からも期待が集まっています。また、近年関心が高まっている水資源保護の取り組みは、消費者や就職希望者、さらには取引先まで、幅広いステークホルダーから信頼と評価を得られるでしょう。
など
電気・ガス・熱供給・水道業/農業、林業、漁業/鉱業/建設業/各種製造業など
※対象となっていない業種も当てはまる場合があります。SDGsに取り組む目安としてご活用ください。
世界では、8億を超える人たちがいまだ電力を使えず、約30億人は薪、石炭、木炭などを調理や暖房に使っていると言われています。この先、石油や石炭、天然ガスなどの有限でかつ温室効果ガスを排出する資源を使い続ければ、気候変動のリスクもさらに高まるでしょう。
今後は、再生可能エネルギーの利用を増やすこと、エネルギーをより効率的に使うことが必要です。世界全体の水力発電、風力発電、バイオマス発電、太陽光発電といった再生可能エネルギー発電の割合は、25 %程度と言われています。
一方、日本での再生可能エネルギーの割合は20%以下。再生可能エネルギー比率の向上のために、自然界に存在する自然なエネルギーを活用する、持続可能なエネルギーの技術開発・利用促進が期待されています。
国を挙げて脱炭素社会をめざすなか、企業の再生可能エネルギーの導入や省エネルギーへの取り組みは、社会貢献意識の高い顧客にアピールできるとともに、環境や社会に貢献するESG投資の側面からも高い評価が期待できるでしょう。また、ITやAIなどのテクノロジーを活用したスマートシティなどが注目されるなか、この目標への取り組みは新たなビジネスチャンスの創出にもつながります。
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電気・ガス・熱供給・水道業/農業、林業、漁業/鉱業/建設業/各種製造業/学術研究、専門・技術サービス業など
※対象となっていない業種も当てはまる場合があります。SDGsに取り組む目安としてご活用ください。
全世界の労働者の61%超は、インフォーマル・セクター(靴磨きや行商など、経済活動において公式に記録されない仕事)で働いていると言われています。また、日本でも、「過労死」に至るほどの労働を強いられるている人々が存在することは大きな課題です。
経済成長は、国や企業にとって必要なものです。ただし、そこにばかり目を向け、働く人の健康、教育、報酬などへの配慮がかけていると、人間らしい暮らしを営むことができなくなります。誰もが、働きがいのある人間らしい仕事に就くことができれば、それはやがて社会全体の利益につながるはずです。
途上国の高い失業率や児童労働率などの課題はもちろん、先進国でも女性、若者、障がい者、移民など社会的に弱い立場の人の雇用や賃金の問題、さらには地方の文化振興・産品販売促進につながる持続可能な観光業など、幅広い取り組みがこの目標に当てはまります。
雇用への配慮と経済成長を両立する視点は、社員や就職希望者からの期待も高く、この目標への取り組みは社員のモチベーションアップや優れた人材の確保につながるでしょう。また、少子高齢化が深刻な日本では、雇用システムの転換が求められています。雇用問題を解決するためのアイデアや挑戦は、新しいビジネスの開拓につながり、消費者をはじめ幅広いステークホルダーからの評価が期待できます。
など
全業種
道路、電力、水道、そして情報通信などのインフラは、人々の生活を支えるために必要不可欠です。世界的に自然災害が増加するなか、何か起きたときに素早く復旧できるしなやかなインフラづくりも重要になってきています。
しかし、多くの途上国ではインフラ整備が進まず、それが企業の生産性を落とし、貧困につながっているのが現状です。近年は、情報通信のインフラ整備により、誰もがインターネットや金融サービスにアクセスできるような環境が求められています。とはいえ、資源を大量に消費するような解決策では、他の問題が深刻化するリスクがあります。そこで、問題を解決するために、技術革新の基盤をつくろうというのがこの目標です。
イノベーティブなアイデアによって途上国のインフラ整備をめざすプロジェクトから、災害時のインフラ復旧に貢献するアクション、持続可能なビジネスに向けたイノベーションまで、幅広い取り組みがこの目標に当てはまります。
日本でも自然災害が増えるなか、いざという時に命と暮らしをまもる「インフラ」。多角的な取り組みが求められており、ビジネスチャンスも広がっています。また、災害時にも対応する商品やサービスには付加価値が生まれるため、価格競争を回避でき、安定した収益確保につながります。
など
電気・ガス・熱供給・水道業/情報通信業/学術研究、専門・技術サービス業など
※対象となっていない業種も当てはまる場合があります。SDGsに取り組む目安としてご活用ください。
先進国・開発途上国にかかわらず、世界には理不尽な差別が根強く残り、格差も広がっているのが現状です。世界の富の半分は、数十人の富裕層に保持されているというデータもあります。また、所得に関しては、世帯内部の不平等に起因するケースもあります。
この目標では、年齢、性別、障がい、人種、民族、出自、宗教などにもとづく不平等を解消し、多様な人たちが活躍できる社会をターゲットにしています。
途上国の貧困を改善するプロジェクトをはじめとする、グローバルな活動はもちろん、異文化理解の促進、男女不平等や性的マイノリティーなど、幅広い取り組みがこの目標には当てはまります。
多様性を認め合える社会の実現に向けた取り組みは、幅広いステークホルダーからの評価につながり、優秀な人材の確保や企業のブランディングへの好影響が期待できるでしょう。また、消費者の共感や信頼を得ることで、製品やサービスの売り上げ向上も期待できます。
など
全業種
地球の陸地面積のわずか3%相当の都市において、世界のエネルギー消費量の60〜80%が消費されていると言われています。また、都市で暮らす人の数は今後も増え続け、2050年には人口の約3分の2にものぼると予測されています。
都市では、人口集中による住宅不足、大気汚染やゴミ問題、格差の拡大、犯罪などの都市特有の問題が深刻化しています。これらの問題は、地球環境はもちろん、私たちの生活にもさまざまな問題をもたらす可能性があります。
東アジアや東南アジアを中心とするスラム街の問題を改善するためのプロジェクトはもちろん、女性、子ども、高齢者、障がい者など、誰もが住みやすいまちづくりまで、幅広い活動がこの目標に当てはまります。
日本でも人口集中による地方の過疎の問題、少子高齢化による空き家問題などを解決する新しいアイデアや仕組みづくりが求められるなど、まちづくり分野でのビジネスチャンスが広がっています。また、廃棄物(ゴミ)や大気汚染の対策など、バリューチェーンにおいて環境に配慮している企業の取り組みは、ESG投資の面で投資家にも注目されています。
など
電気・ガス・熱供給・水道業/農業、林業、漁業/建設業/各種製造業/情報通信業/不動産業/物品賃貸業/生活関連サービス業、娯楽業/その他のサービス業など
※対象となっていない業種も当てはまる場合があります。SDGsに取り組む目安としてご活用ください。
大量のエネルギーや資源を使って、大量の食品や製品を生産し、消費し、廃棄している私たちの暮らし。2050年までに世界の人口が96億人に達した場合、現在の生活様式を維持するためには、地球が3つ必要になりかねない、とも言われています。
また、ものを生産・消費し、廃棄する流れにおいては、有害物質の排出による環境汚染やフードロスも大きな問題に。今後、世界の人口増加が予想されるなか、先進国も開発途上国も、この目標達成に向けて、歩みを進めていく必要があります。
そのためには、国、自治体、企業、そして消費者がそれぞれに持続可能な生産・消費を考え、意識と行動を変えていくことが大切です。フードロスの削減、リサイクルやリユースの推進、ゼロエミッションによる廃棄物(ゴミ)の削減、資源やエネルギーの効率的な活用などが求められています。
社会貢献意識の高い顧客たちによる「エシカル消費」が広がるなか、この目標への取り組みは商品やサービスへの付加価値となり、顧客からの共感を得ることにつながるでしょう。また、ビジネスの企画から生産・製造、調達、輸送、販売、そして消費・廃棄までのバリューチェーンを通してこの目標達成に取り組むことは、環境・社会・ガバナンスを配慮した持続可能な企業と見なされ、ESG投資の対象として注目されることが期待できます。
など
宿泊業、飲食サービス業/卸売業、小売業/生活関連サービス業、娯楽業/その他のサービス業など
※対象となっていない業種も当てはまる場合があります。SDGsに取り組む目安としてご活用ください。
世界の平均気温は、産業革命前と比べて、約1℃上昇したと言われています。気候変動による干ばつや大洪水、海面上昇などが、世界中で飢餓や貧困、紛争を増大させると予想されるなか、先進国、開発途上国ともに具体的な対策を掲げて、取り組む必要があります。
対策のひとつは化石燃料の使用を控えて温暖化を抑えること。もうひとつは、異常気象によって起きる災害をできるかぎり小さく抑えること。この両方を並行して進めることが求められています。
気候変動は問題のスケールが大きいぶん、さまざまなジャンルと関連します。商品やサービス自体で実行できる対策、それらを供給する流れにおける対策など、広い視野で捉える必要があります。
認知度・関心度の高い「気候変動」対策への貢献は、CSR活動として、企業イメージの向上やブランディングに有効に働き、ESG投資の対象としても評価されるでしょう。また、脱炭素社会実現の意識が高まるなか、消費者はもちろん、就職希望者や取引先からの信頼獲得にもつながります。
など
鉱業/建設業/各種製造業/電気・ガス・熱供給・水道業/卸売業、小売業/宿泊業、飲食サービス業/生活関連サービス業、娯楽業/その他のサービス業など
※対象となっていない業種も当てはまる場合があります。SDGsに取り組む目安としてご活用ください。
世界全体で、海洋や沿岸の資源・産業の市場価値は年間3兆ドルと、全世界のGDPの約5%を占めています。私たちの経済活動と密接に関わっている、海。しかし、その経済活動が、多くの魚種の急速な枯渇を助長していると言われているのです。
今のペースで魚をとり続けていたら、いずれは魚がとれなくなるという研究もあります。さらには、大量のゴミや排水によって海が汚染され、海の生き物に悪影響をもたらしているとも言われており、海洋プラスチックの問題も浮き彫りになってきました。漁業大国である日本の研究や対策が期待されています。
この目標には、汚染から海を守るためのグローバルな活動から、身近な海の生態系を守るための仕組みづくり、プラスチックゴミの削減につながるイノベーションなど、幅広い取り組みが当てはまります。
乱獲による水産資源の減少については、これまでの水産業のあり方を見直し、持続可能な管理が求められています。この目標への取り組みによって製品やサービスに付加価値が生まれて価格競争を逃れられれば、安定したビジネスモデルの構築につながるでしょう。また、消費者間で関心が高まっている海洋プラスチック問題への取り組みは、社会貢献意識の高い消費者にアピールすることにつながり、ファンづくりの側面からも効果が期待できます。
など
農業、林業、漁業/卸売業、小売業/宿泊業、飲食サービス業/その他のサービス業など
※対象となっていない業種も当てはまる場合があります。SDGsに取り組む目安としてご活用ください。
森林や山地、湿地、川や湖は、多様な生物のすみかであり、私たち人間の暮らしも支えてくれています。しかし、産業の発達とともに、これらの自然環境が破壊されつつあるのが現状です。
2010年から2015年にかけ、世界では平均して毎年330万ヘクタールの森林が消失。また、毎年、干ばつと砂漠化によって、1200万ヘクタールの土地が失われているそうです。私たちが自然の恩恵を受けながら暮らし続けていくためには、その自然環境と生態系を守り、生物の多様性を支えていく必要があります。
サプライチェーンにおいて生態系や生物多様性を守るプロジェクトから、植林活動、生態系に配慮した身近な商品開発・販売まで、さまざまな活動が期待されています。また、林業の後継者問題を解決する仕組みづくりや支援も持続可能な森林の経営に必要とされています。
森林の生態系や絶滅危惧種の保護に、企業のバリューチェーンを通して取り組むことで、社内の一体感を生まれ、ひいては商品やサービスの売り上げ向上につながるでしょう。また、間伐材を使用したサステナブルなビジネスや、ペーパーレス化を実現するイノベーティブなアイデアなど、この目標への取り組みが製品やサービスの付加価値となり、ビジネスチャンスが広がることが期待されています。
など
建設業/製造業/卸売業、小売業/学術研究、専門・技術サービス業/宿泊業、飲食サービス業/生活関連サービス業、娯楽業/その他のサービス業など
※対象となっていない業種も当てはまる場合があります。SDGsに取り組む目安としてご活用ください。
この目標では、暴力や虐待のない平和な社会、誰もが法に守られる社会をターゲットにしています。紛争地域には、初等就学年齢になっても学校に通えない子どもが多く、子ども兵士として紛争に巻き込まれる場合もあります。
子どもに対する虐待や搾取、紛争やテロリズム、犯罪などを撲滅し、誰もが安心に暮らせるような社会をつくるために、途上国でも、先進国でも、汚職がなく公正な政治や法律の仕組み・制度づくりが求められています。
紛争地域などへの支援はもちろん、差別のない社内規程づくり、政治や司法へのアクセスを身近にするためのツールの開発、DVを減らす仕組みづくり、平和と公平性の考え方を根付かせる教育など、幅広い取り組みがこの目標に当てはまります。
公正な社内規定を整備した透明性の高い企業は、コーポレートガバナンスの視点からも評価され、就職先の対象やESG投資の対象として注目されることが期待できます。また、紛争地域への支援や、日本国内での虐待・DV撲滅に向けた活動、平和な社会を築くための啓発活動、さらに商品やサービスをすべての人に平等に提供するような取り組みは、消費者からの支持獲得につながり、CSR活動としても評価されるでしょう。
など
情報通信業/学術研究、専門・技術サービス業/教育、学習支援業/医療、福祉/その他のサービス業など
※対象となっていない業種も当てはまる場合があります。SDGsに取り組む目安としてご活用ください。
SDGsは、国、団体、企業、研究者、そして個人と、さまざまな立場の人が協力して達成すべき目標です。この目標17では、たとえば政府と企業、NPOや研究者と企業、消費者と企業などが、力強いパートナーシップを結んで目標達成に取り組むことで、世界を変えていこうと呼びかけています。
ターゲット(具体的な目標)を見れば、先進国においては開発途上国に対するODA(政府開発援助)の目標数値が設定されているなど、先進国から開発途上国への資金や技術面での支援は重要なパートナーシップのひとつであることがわかります。
一方で、SDGsなどに取り組む企業に賛同する投資家や消費者との関係も、パートナーシップのひとつと言えるでしょう。国と国だけでなく、広い視点でパートナーシップを捉えることで、目標が見えてくるはずです。
世界共通の目標であるSDGsは、世界共通の言語でもあります。SDGsというビジョンを共有することで、企業、団体、生活者の壁を越え、これまで関わりのなかった分野とも協業するなかから、新しいアクションやムーブメントが生まれることが期待できます。
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農業、林業、漁業/建設業/各種製造業/電気・ガス・熱供給・水道業/情報通信業/運輸業/卸売業、小売業/教育、学習支援業/医療、福祉など
※対象となっていない業種も当てはまる場合があります。SDGsに取り組む目安としてご活用ください。
ここまで、SDGsの17の目標の解説とともに、身近に感じられるキーワードをご紹介しました。自社と関連性の高い目標が、いくつか見つかったのではないでしょうか。
次のステップは「アクション」。できることから始めてみましょう。その行動が社内外へと広がれば、予想外の効果をもたらすかもしれません。なぜなら、SDGsに取り組むことは、自社のビジネスチャンスを広げることだからです。未来への"ステップ"を、ここから踏み出しましょう。