企業のSDGs取り組み事例まとめ|Vol.4 事業そのものが社会課題解決に寄与するBtoB企業6社

2023年12月05日

講談社SDGsでは、これまで多くの企業のSDGs取り組み事例をご紹介してきました。今回は、製品やサービスをほかの企業や団体に使ってもらうことで、導入企業(あるいは団体)のSDGsへの取り組みにも貢献しているBtoB企業の取り組みをまとめ、そのポイントをご紹介します。

事例1:大日本印刷

SDGsが国連で採択された翌年の2016年からSDGsを視野にいれた企業活動を行ってきた大日本印刷。SDGsの認知度がまだ低い時期から、「SDGsはBtoBビジネスとの親和性が高い」と従業員の意識啓発にも力を入れてきたことで、スペックや技術革新に目が向きがちだった社内の意識が、自分たちの業務が社会課題解決に役立つという意識に変わってきたといいます。

さらに、積極的に情報発信をしたことが、国連やJICA(国際協力機構)など外部からの評価にもつながり、メディアからも「SDGs推進企業」として注目されるようになりました。

得意先だけなく、取り引きのない企業から「SDGsへの取り組みを教えてほしい」という要望も増え、新たな交流やビジネスにもつながっていると話す同社。SDGsのパイオニア企業として、パートナーとともに取り組みを進めています。

社会課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値をつくり続ける大日本印刷 企業のSDGs取り組み事例Vol.3(前編)
事業を通じて社会・環境課題を解決し、持続的な社会の発展に貢献する大日本印刷 企業のSDGs取り組み事例Vol.3(後編)


事例2:アストロスケール

宇宙ゴミ(スペースデブリ)除去を目的とした世界で初めての宇宙ベンチャー、アストロスケール。衛星放送や人工衛星など、いまや私たちの生活に欠かせない「宇宙」が持続的に利用できるよう、運用を終了した人工衛星や、不要になったロケットの上段部分などの除去サービスを行っています。

地球のゴミと違い、1回ゴミが発生すると数百年はそのままになってしまう宇宙ゴミ。「100%人間の責任」である宇宙ゴミを除去するため、世界中の研究者や技術者と協力して取り組みを進めています。

さらに、一般の人々にも宇宙ゴミ(スペースデブリ)問題を「自分ゴト」として認識してもらうための情報発信にも力を入れています。講談社のマンガ『宇宙兄弟』とのコラボレーションによる、人と地球と宇宙を持続可能にするためのプロジェクトは大きな話題となり、人々の関心を集めました。

人と地球と宇宙の持続可能実現を目指すアストロスケールの挑戦

事例3:セイコーエプソン

企業価値やすべての技術・ビジネスを社会課題の解決をベースに見直し、「持続可能でこころ豊かな社会の実現」を目指しているセイコーエプソン。これからの世の中は、経済的・物質的豊かさではなく、人にも企業にも精神的・文化的な豊かさがますます重要となってくるという信念のもと、ビジネスを展開しています。

「性能のよいものをつくれば売れる」ではなく、本社のある長野県・信州、諏訪地方の自然環境をこの先もずっと残していくことを目指す同社。生産活動によって諏訪湖を汚してはならないという創業者の理念に立ち戻り、売上目標ではなく社会・環境貢献に関わることを重視しています。

近年は、環境負荷低減と社員の幸せ向上に寄与するデジタル印刷技術「デジタル捺染(なっせん)」を推進。環境貢献と、労働環境改善にも貢献しています。

デジタル捺染とプロジェクターで、環境負荷の高いアパレル業界のエコシステム構築にも貢献している同社は、2030年までに環境関連に1000億円を投じ、商品もサービスを通じて社会課題解決に貢献していく予定です。

印刷とデジタル技術でこころ豊かな社会の実現を目指すセイコーエプソンのSDGs

事例4:リコー

早くから環境保全と利益創出を同時に叶える環境経営を推進しているリコー。2036年の創業100年に向けて、「働きがい」と「経済成長」が両立する持続可能な社会を目指し、事業を展開しています。

環境負荷を低減させる製品を開発・販売し、導入企業のSDGs取り組みにも広く貢献している同社。こうした環境負荷配慮型製品を生み出すことは、社員のモチベーションを高め、働きがい向上につながっているといいます。さらに同社はSDGsへの取り組みを「自分ゴト」化するために、参加型社内イベントなどにも力を入れています。

いまやビジネスモデルは大きく変わり、SDGsへの取り組みが不十分な企業は存続できないといわれる時代。企業や株主の期待に応え続けるため、同社は社会課題解決に貢献する製品やサービスを生み出しています。

デジタルの力で"はたらく"に寄り添い、誰も取り残さない社会の実現を目指すリコーグループ

事例5:NEC

先進的なデジタルテクノロジーの開発と応用で知られるNEC(日本電気)。2019年に創立120周年を迎え、「Orchestrating a brighter world」を冠に据えたパーパスを制定しました。誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指し、AIやICTなど、世界トップクラスのデジタル技術で、社会に新たな価値を生み出し続けています。

AIやICTは気候変動の適応対策に大きな役割を果たすと考えている同社。AIやセンサーを用いた分析・予測による災害予防・緩和や、災害発生に伴うCO2排出抑制などに取り組んでいます。また、国際機関との連携で、発展途上国へのワクチン接種を進めたり、デジタルを活用して営農の効率化を実現したりするなど、さまざまな取り組みを進めています。

長期スパンでの取り組みが多いことから、意識継続のための発信にも力をいれています。継続的な情報発信でSDGsへの意識を広げながら、今後も多様なステークホルダーと共創し、取り組みを進めていきます。

ICTの活用で持続可能な社会の実現を目指すNECの価値創造

事例6:積水化学

革新と創造で社会課題解決に貢献している積水化学グループ。創業以来「Service(サービス)、Speed(スピード)、Superiority(際立つ技術と品質)」の「3S精神」に基づき、さまざまな分野で社会課題の解決に貢献してきました。

たとえば、自然環境や社会貢献の課題解決貢献度が高い製品を「サステナビリティ貢献製品」と位置づけ、それらを市場に拡大することで持続可能な社会に寄与しています。さらに、こうした製品を生み出し続けるために、社員の社会課題解決貢献力の向上にも力を入れています。また、グループ各社で温度差がでないよう、グループ全社への情報発信や情報共有にも力を入れているそうです。

SDGsは、「よりよい社会をつくっていく、という共通の目的となるすばらしい目標だ」と語る同社。サステナブルな企業として継続していくために、まだ認識されていない潜在的な課題にも積極的に挑戦しています。

社会課題解決に貢献するサステナブルな製品や事業で、売上向上を実現する積水化学
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