2021年02月04日
サーキュラーエコノミーの実現を推進する、容器のリユースプロジェクト「Loop」。廃棄物のリサイクルを超えた、そもそもごみを出さないサステナブルな経済システムが、2021年、日本でもイオンなど大手企業が参画し始動します。使い捨て依存から日本は脱却することができるのか。2030年の達成に向け、加速するSDGsの取り組みのひとつとして注目を集めています。
サーキュラーエコノミーは、一方通行の使い捨て消費とは異なり、地球の資源から作られた製品を捨てずに再利用して使い続ける、循環型の経済システムのことです。
「Loop」は2019年1月、米国のソーシャル・エンタープライズ テラサイクルが、大手消費財メーカー各社とともにダボス会議にて発表したショッピングプラットフォームで、米国やフランスではすでに試験運用がスタートしています。
従来使い捨てにされていた一般消費財容器や食品パッケージを、繰り返し利用可能な耐久性の高いものに変え、使用後に消費者の自宅から回収し、洗浄・補充した上で再利用(リユース)する。この使い捨てからサステナブル消費へと移行させるビジネスモデルが、今世界で拡大し始めています。P&Gをはじめ、ユニリーバやネスレ、ボディショップなど200を超えるブランドが参画。すでに順番待ちのユーザーがあふれるほどの人気を集めています。
2021年3月、日本でも、味の素、イオン、エステー、大塚製薬、キッコーマン、キヤノン、キリンビール、サントリー、資生堂、P&Gジャパン、ユニ・チャーム、ロッテなどの大手企業が参画し、日本版「Loop」が始動します。
消費者は参画企業の商品を「Loop」や現在唯一の小売店パートナーであるイオン店頭で購入し、使い終わった空き容器を返送、またはイオン店頭の容器回収ボックスに返却。容器を洗浄した後、メーカーの工場で製品を再び充填し、商品を倉庫へ輸送し、再利用されます。
Loopは、「捨てるという概念を捨てよう」というテラサイクルのミッションのもと、これまで行ってきた廃棄物や使用済みの製品をリサイクルするだけで本当に十分なのかという問いに応える形で生まれたプロジェクトです。
配送は、リユース式のトートバックを使用。注文商品を自宅で受け取り、製品を最後まで使い切った後、同じトートバックに入れて返却するため、これまで"ごみ"となっていたダンボール等の配送梱包材が出ません。またパッケージの洗浄・処分が必要ないため、家庭からの洗浄に伴う水質汚染やごみを減らすことも可能です。
加えて、「Loop」で提供するのは、繰り返し使える耐久性の高い容器のため、プロダクトに高級感や機能性も付加できます。たとえば、米国ではハーゲンダッツが、冷たすぎず素手で持つことができ、常温でも溶けにくい2重構造のステンレス容器を開発し、好評を博しているとのことです。今後、日本でも各企業から、何度も使いたくなるようなデザイン性や機能性の高い容器が登場する予定です。
おしゃれなパッケージや機能性にこだわりの強い日本の消費者。デザイン性や機能性が高まれば、エコ目的というだけでは、なかなか変容が難しかった消費行動にも、変化をもたらすことができそうです。
「Loop」(容器のリユース)が広く浸透することは、モノを所有することに価値を置く時代から、「循環」へと意識が変化する契機になりえるのではないでしょうか。リサイクルやリユースすることが環境にも人にも快適な時代へ。サステナブルなプロジェクト「Loop」の動向に世界が注目しています。