2022年11月25日
キャラバンカーで巡回し、日本全国の子どもたちに絵本の楽しさを届ける、講談社の「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊(以下、おはなし隊)」は、SDGsという言葉が登場する以前から続く、講談社のSDGsへの取り組みのひとつです。そんな「おはなし隊」が、アメリカ発のアパレルブランド「GAP」とコラボレーション。その概要をご紹介します。
「おはなし隊」のキャラバンカー。扉を開けると階段が降りてきて、550冊以上の本を載せた夢の図書室が現れる
「おはなし隊」は、夢の図書室を載せたキャラバンカーが、全国47都道府県におはなしを届ける事業として、講談社創業90周年を記念して1999年7月にスタートしました。これまでそれぞれ550冊以上の絵本を積んだ2台のキャラバンカーが、全国の幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問しており、その数は2万3000ヵ所以上にもなります。
この活動は多方面で評価され、2007年に第55回菊池寛賞、そして2018年には、企業による芸術文化を通じた、社会創造の観点で特に優れた活動を顕彰する「メセナ大賞」を受賞しました。
講談社の「おはなし隊」は、日本だけでなく、インドにまで活動を広げています。
水の循環、命のつながりをテーマにした、「もったいない」の大切さを伝える絵本『もったいないばあさん かわを ゆく』(著・真珠まりこ氏)は、6ヵ国語(日本語、英語、フランス語、スペイン語、中国語、ヒンディー語)に翻訳され、物語を通して世界中に「もったいない」を発信しています。
©もったいないばあさんプロジェクト ©真珠まりこ/講談社(画像出典:アニメ「もったいないばあさん」公式サイト)
2018年からは、同絵本の翻訳版をインドで読み聞かせる、「読み聞かせキャラバン」がスタート。JICAが現地で実施した「インパクト評価調査」によれば、「もったいないばあさん」がインドの子どもたちの環境への意識や行動に変化をもたらしたとのことです。
インドでの読み聞かせの様子 詳しくはこちら
「おはなし隊」のキャラバンカーは、ピンクの「1号車」とブルーの「2号車」の2台。キャラバンカーには、講談社と各出版社が発行している、550冊以上の絵本を積載し、中で子どもたちが自由に閲覧することが可能です。
「おはなし隊」のキャラバンカー
延べ走行距離は約111.8万kmを超えており(2020年3月)、すでに地球を約28周したことに。他社や他団体に先駆けて読み聞かせの活動をスタートし、20年以上にわたって全国の子どもたちに本との出会いの場を創り、本の手触りやおもしろさを伝えてきた「おはなし隊」の活動は、多くの人たちに支持されています。この活動は、SDGs17の目標のうち4番目に掲げられている「質の高い教育をみんなに」の実現へ向けた取り組みのひとつと言えます。
しかしコロナ禍の影響で2年半ほど活動を休止。2022年7月の東北訪問より活動を再開し、再び全国に、絵本と"おはなし"、そして笑顔を届けています。
そんな「おはなし隊」が2022年10月8日(土)~10日(月・祝)、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」の実現に向けて、アパレルブランド「GAP」とコラボレーションを実施しました。
GAPはベビー服から大人向けの洋服を販売しており、店舗には、親子で訪れる方も多くいます。親子で楽しむ「絵本」との親和性の高さにGAPの方が注目し、今回のコラボレーションに至りました。
場所はGap Outlet 神戸三田プレミアム・アウトレット店。連休ということで多くの親子が参加しました。
GAPの人気キャラクター「ブラナンベア」も参加者をお出迎え
「おはなし隊」訪問時の基本プログラムは、2部構成。講談社スタッフ「おはなし隊長」による、約30分の絵本や大型紙芝居の読み聞かせと、子どもたちがキャラバンカー内の好きな本を選んで読める約30分の自由閲覧の時間があります。
隊長の声に合わせてジャンプしたり、早口言葉を復唱したりと、子どもたちが聞くだけではなく、体を動かし、"楽しく学ぶ場"を提供しています。
「おはなし隊」の読み聞かせの様子
体操絵本では、子どもたちも一緒に体操!
「おはなし隊長」の話術で、子どもたちは、おはなしの世界に没頭!
こうしてGAPとのコラボレーションは、大成功を収めました。
Gap Outlet 神戸三田プレミアム・アウトレット店の松尾綾祐さんも、「こんなに喜んでもらえるとは思わなかった。子どもたちにとって、いい体験になったと思う。他のアウトレットでもぜひ開催したい」と、次回開催に意欲を見せていました。
イベント主催の神戸三田プレミアム・アウトレット マネジメントオフィス 青木佑介さん(左)と、Gap Outlet 神戸三田プレミアム・アウトレット店の松尾綾祐さん
これまでの幼稚園や学校への訪問に加え、今回のように企業とコラボレーションすることで、より多くのお子さんたちに本との出会いの機会を提供、さらに親御さんにも親子で一緒に、楽しい絵本の世界を体験してもらうことができました。
絵本との出会いは、子どもたちに本を"おもしろい"と思ってもらえる最初のきっかけとなります。質の高い教育への一歩に貢献でき、本と人、人と人をつなぐ出会いの場を提供できる、「おはなし隊」の活動に今後も注目が集まりそうです。