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企業のSDGs担当者160人の本音から見えた、SDGs推進のリアル ~見えてきた課題と解決策を共に考える~

2023年12月20日

2023年7月、講談社SDGsは、企業のSDGsご担当者さまを中心にアンケートを実施しました。この結果(回答160件)をもとに、いま企業はSDGsへの取り組みをどのように進めているのか。そのなかで感じている、課題や効果とはどのようなものなのかを、考察。調査から見えた「SDGs推進のリアル」を解説します。

※本稿は、2023年9月に実施した、講談社SDGs主催ウェビナーを再構成したものです。

第1部:企業が推進するSDGs取り組みの現在地 最新版

85%の企業がSDGsに取り組んでいる

講談社 ライツ・メディアビジネス局 メディア開発部 丸田健介(以下、丸田) まずは企業のみなさまにSDGsへの取り組み状況をお聞きしたアンケート結果をお伝えします。スライドをご覧ください。

「あなたの会社は、SDGsに取り組んでいますか」という質問に対して、85%の企業が取り組んでいると回答がありました。日本の企業の多くは2023年時点でSDGsへの取り組みを進めているという認識であることがわかります。

昨今、一般的なSDGsの認知度も向上しているなか、多くの企業がSDGsへの取り組みを進めていることは、ポジティブなことと言えるでしょう。さらに、「SDGsへの取り組みを行っている」と答えた企業のうち、「積極的に行っている」と答えた企業は、23%でした。

なお、今回のアンケートにご回答いただいたみなさまのうち、ご自身が業務としてSDGsに取り組んでいるかたがもっとも多く、73%となっています。

SDGs、サステナブルの専門部署がある企業は12%

丸田 では、企業はどのような体制でSDGsへの取り組みを行っているのでしょうか。社内の組織体制について、聞いてみました。

「SDGs、サステナブルに関する専門部署がありますか?」という質問をしたところ、「専門部署はないが複数の部署が横断的に対応している」という回答がもっとも多く、次いで多かったのが「総務・経営企画系の部署が対応している」でした。

SDGs、サステナブルに関する専門部署を持っている企業は12%程度で、現時点では既存の組織体制の中で対応している企業が多いことがわかりました。

企業がSDGsに取り組む「目的」と「効果」

丸田 SDGsに取り組む企業の「目的」とは、どのようなものなのでしょうか。SDGsには17の目標がありますが、どれを重視しているかを質問してみました。そのアンケート結果では、

目標8「働きがいも経済成長も」、目標12「つくる責任 使う責任」

を重視する企業が多く見られました。

目標8「働きがいも経済成長も」が多いのは、企業における人財育成、ジェンダー、働き方改革といった課題が日本のいまの現状にマッチしていて、取り組みやすいからだと考えられます。

また、メーカー・製造業では目標12の「つくる責任」を、流通業では「使う責任」に取り組む傾向が多かったのは、近年、リサイクルやアップサイクルできるエコの観点で商品やサービスを選ぶ消費者が増えていることも関係していると思われます。

次の、実際にSDGsへの取り組みを行った企業に対し、得られた効果について尋ねたところ、次のような回答が得られました。

SDGsへの取り組みを行うことで、「取引先からの評価が向上」「採用活動にプラスの効果」など、企業イメージの向上やCSRの面で役に立っているという回答が目立ちました。

この結果は、「SDGsへの取り組みは進めるべきだと思うが、費用対効果が見えない」と二の足を踏んでいる企業にとって、企業の事業活動にプラスに働く取り組みなのだと、認識できるものではないでしょうか。

なお、フリーアンサーでは、SDGsへの取り組みの効果として、「メディア露出が増えた」「売上増加や競合他社との差別化」「ステークホルダーからの評価」など、さまざまな効果が挙がっていました。

SDGsに取り組むうえでの課題は「社員の意識」

丸田 こうして見ていくと、日本の多くの企業が実際にSDGsへの取り組みを進めているように思えます。

しかし、2023年9月に国連が発表した「SDG進捗報告書・特別版」によれば、世界ではSDGsへの取り組みはまだ50%程度しか進んでおらず、30%以上が「停滞」あるいは「後退している」目標も多く、国連は世界全体でみるとSDGsのゴール達成は、「危機的な状況にある」と発表しています。つまり現状は、全世界でSDGsへの取り組みがより一層必要な状況にあるわけです。

そのなかで企業がいま、「SDGsへの取り組みにおける課題」だと感じているのは、どのようなことなのでしょうか。

回答結果でもっとも多かったのが、「社内全体にその重要性や意義が浸透していない」でした。続いて「課題解決に向けて必要なこと」についても聞いてみると、「情報発信」というキーワードが浮かび上がりました。


多くの企業でSDGsへの取り組みは着実に浸透しており、事業活動への効果も実感できているようです。一方で、まだ「自分ゴト」化できていない社員が多く、社内外への「情報発信」不足を課題に感じているという現状が見えてきました。

第2部:SDGs情報発信の重要性と課題手法について

SDGs情報発信の手法は、自社での情報発信がトップ

丸田 ここからは、課題解決のカギとなる「情報発信」について深掘りしていきます。

「どのような情報発信を行っているか」を尋ねたところ、約半数の方が「(情報発信は)最低限行っている」という回答でした。

具体的には、「自社ウェブサイト」や「自社イベントでの発信」など、自社発信を行っている企業は多いものの、テレビCMや新聞・雑誌広告など、有償の情報発信を行っている企業はまだ少ない状況でした。


一方で、「SDGsに関する対外的な情報発信の必要性」について聞いてみると、「対外的な情報発信」の重要性を認識されている方は85%と圧倒的に多い結果となりました。このことから、対外的な情報発信の重要性は認識しているけれど、「現実にはできていない」というギャップが大きな課題となっていることが見えてきました。

SDGsの情報発信で届けたいのは「自社社員の家族や友人」

丸田 さらに深掘りして、SDGsへの取り組みにおいて、なぜ対外的な情報発信が重要だと思うのかという質問に対しては、

① 自社のビジネスへの貢献
② 社会全体への影響の大きさ
③ 社内での意識啓発

が回答の上位を占めました。

また、対外的な情報発信により、自社のSDGs の取り組みを誰に伝えたいかと尋ねたところ、いちばん多かったのは「自社の社員」でした。次いで、「自社従業員の家族・友人」という結果になりました。

対外的な情報を発信を通じて、自社の社員に、SDGsへの取り組みを知ってもらうことで、社員のSDGsへの意識が高まり、「自分ゴト」化できるようになるのではないかという期待が、そこにはうかがえます。

SDGsの情報発信における課題は「効果」と「コンテンツ」

では、対外的な情報発信を行ううえで、「何が」課題になっているのでしょうか。

多かった回答として、「情報発信が効果につながっている実感がない」「予算がない」「情報発信のコンテンツづくりの難しさ」が挙がりました。

予算については、「予算はあるけれど少額で大がかりな発信は難しい」「固定の予算はないが社内で検討する予定」という回答が多く、ハードルの高さを感じている企業が多い印象でした。

また、予算を伴う情報発信については「SDGsへの取り組みが成果となり事例ができたタイミング」で投下するのが良いと答えた企業がもっとも多く、続いて「具体的にSDGsへの取り組みを始めたタイミング」でした。ある程度、効果が見えてからの情報発信、もしくは取り組みを始める段階での情報発信の有効性に注目している企業が多いというのは、興味深い結果でした。

SDGsの情報発信。目にするメディアはマスメディアが圧倒的に多い

ちなみに、「SDGsの情報発信」で目にするメディアは何かという自由回答に対しては、テレビや雑誌といったマスメディアが圧倒的に多いという結果でした。

広告やマーケティングにおいては、インターネット・SNSが隆盛ですが、自分から積極的に情報を取りにいかないと接触できないインターネットに対し、自然と情報が流れてくるマスメディアは、興味のない人に興味喚起させるという点でも有効性が高く、SDGsの情報発信にも効果的なのではないかと考えられます。

第3部:企業の課題を解決する「FRaU」

情報発信の課題に対し、講談社ではワンテーママガジン「FRaU」による解決策をご用意しています。ここからは講談社「FRaU」がどのようにSDGsの情報発信課題に寄与するかということを説明いたします。

世界ではじめてまるごと1冊SDGsを特集した「FRaU」

「FRaU」は講談社が出版する、ワンテーママガジンです。2019年の1月に、世界ではじめてまるごと1冊SDGsをテーマにした女性誌「FRaU」 SDGs特集号を発行し、話題となりました。

その後、「FRaU SDGs MOOK」「FRaU S-TRIP」など、SDGsに特化した号を18冊刊行し、国内外でSDGsを発信する雑誌メディアとしてはフロントランナーともいえる存在になっています。

「FRaU」のタイアップ広告ページは、いわゆる従来の記事広告のように商品やサービスの商業的価値にフォーカスするだけではなく、企業や自治体のSDGsの理念やストーリーを伝えるものとなっています。


これは「FRaU」が、読者にとっての消費行動を「ユーザーによる企業への投票」と考え、そのユーザーのアクションを後押しするという編集ポリシーに基づいているからです。その編集ポリシーに沿って、商品やサービスの裏側にある思いや理念を、企業のご担当者様と一緒になって考え、読者にお届けしています。

社内コミュニケーションに「FRaU」を活用

自社の社員向けに、「FRaU」をご活用いただくケースもあります。

定期的に「FRaU」でタイアップ記事をご掲載いただいたセブン&アイ・ホールディングスさまでは、これまでの記事をまとめた小冊子を制作しました。これを全社員に配布したところ、「社内報だけでは伝わらない客観的な取り組みが訴求できた」「自宅に持ち帰り、家族とのコミュニケーションのきっかけになった」と大変好評でした。

「FRaU」SDGs特集号は、2024年も発刊予定。新ブランドの展開中

2023年12月5日に発売となった「FRaU」最新号のテーマは、「さがす、つくる、私が住みたい、まち。」。女優の綾瀬はるかさんを表紙に起用しています。

今後も「FRaU」SDGs特集号は、継続的に発行していく予定です。また、日本全国のエリアに焦点を当てた「FRaU S-TRIP」号、サステナブル時代における本質的な美しさとは何かをテーマにした「FRaU S.BEAUTY」号など、FRaUの新ブランドも展開中です。

ご興味をお持ちの企業さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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