2023年09月25日
講談社SDGsでは、多くの企業のSDGsへの取り組みをご紹介してきました。今回は、食品・洗剤・ヘアケア・トイレタリーなどを製造販売している日用品・消費財メーカー6社の事例ポイントをご紹介します。
いまや、企業がSDGsの取り組みを進めることは当たり前となりつつあります。そのなかで、毎日の生活のなかで使うものを製造販売している日用品・消費財メーカーは、事業とサステナブルをさまざまな面で両立しながら、SDGsの目標達成に貢献しています。
<企業の取り組み事例まとめシリーズ 過去記事はこちら>
▶︎Vol.1 「サステナブル経営」を進める企業6社
▶︎Vol.2 さまざまなテーマの課題に取り組む食品・飲食関連企業6社
コーセーは、10年以上も前から、「SAVE the BLUE」プロジェクトと題し、絶滅の危機にある沖縄のサンゴの育成への寄付・啓蒙活動や植樹活動を実施しています。
このアクションは、同社を代表する化粧品「雪肌精」のブランド活動です。
SDGsの専任担当者は設けずに、企画部門の全員で、「自分たちに今、何ができるか」を考えていると話します。そのなかで、和漢植物という自然の恩恵を享受しながら、多くのお客さまと共に育ってきたブランド「雪肌精」を通して、少しでも自然(地球)への恩返しがしたいという思いで、取り組みを開始。SDGsへの取り組みを推進することは、「美の創造企業としての使命と役割」だという同社は、化粧品を通じて、人や地球を「美」の力で明るく元気にしています。
オーガニックコスメのパイオニア的存在、ジュリーク・ジャパン。オーガニックやエシカルという概念がまだほとんど知られていなかった1985年の創業から一貫して地球環境への影響を軽減する取り組みを行っています。
SDGsへの取り組みをきっかけに、社員が自発的に環境改善の行動や発言をするようになったという同社。「FRaU」のパートナー企業として、情報発信をしたことで、取引先からSDGsへの取り組みの企画などへの誘いが増えたり、「SDGsへの取り組みを教えてほしい」という依頼が来るようになったりするなど、化粧品以外での活動も広がっているといいます。「SDGs」によって、同じ志を持つ企業との新たなつながりを創出しています。
「ビジネスを通じて暮らしをよりよくしたい」という創始者の目的意識や使命感に基づき、SDGsへの取り組みを進めているユニリーバ。創業時から事業成長とサステナビリティの両立を目指してきました。
世界中の人々が毎日を豊かに暮らせる社会の実現に向けて、確固たる価値観と使命を持ち、環境負荷を減らしながらビジネスを成長させている同社。SDGsへの取り組みをビジネスとして続けていくためには社内への浸透が必須と、全世界15万5千人の社員の意識啓発にも力を入れています。
「サステナビリティを暮らしの"あたりまえ"に」というパーパスを掲げる同社が推進している、働く場所と時間を自由に選べる新しい働き方「WAA」は、多様な人材が自分らしくいきいきと働ける環境を整えるとともに、企業のBCP対策にもつながっています。
戦後間もない日本で、赤痢などの伝染病が多発するなか、劣悪な衛生環境が原因で失われる命を守りたいという思いから生まれたサラヤ。創業以来、感染予防の医薬品メーカーとして、社会的課題の解決に真摯に向き合ってきました。近年は環境保全活動で企業価値を高めるとともに、SDGsへの取り組みで途上国の雇用や経済発展にも寄与しています。
ボルネオの生物多様性の保全、ウガンダの衛生向上、同社の自然派甘味料の原料である羅漢果(らかんか)の持続可能な調達など、さまざまな取り組みでSDGsの目標達成に貢献しています。
また、SDGsの取り組みを行うことで、国連機関や政府、NPO、異業種企業など、新しいつながりも生み出してきました。「サラヤが選ばれるほど、環境保全が広がる」というビジネスの流れを構築し、環境保全活動と企業経済活動の両立を実現しています。
世界の代表的な社会的責任投資(SRI)指標である「Dow Jones Sustainability World Index」に7年連続で選定されるなど、国際的にも高く評価されている花王。1990年代から詰め替え用フィルム容器を発売するなど、環境負荷低減にも先進的に取り組んでいます。
2020年4月にはボトル容器への詰め替えが不要な画期的製品「スマートホルダー」を発売。「詰め替える」習慣が根づいていない国へも販売を行い、グローバルでの環境負荷低減を促進しています。
複合材料から成り立ち、容器から容器へのリサイクルが難しいフィルム容器のリサイクルに関しては、回収の基盤となる仕組みの構築とリサイクル技術の共同開発を実施。企業の枠を超えて取り組みを推進し、国内外での資源循環型社会の加速を目指しています。
視力補正用具として人々の生活を支えるコンタクトレンズを製造販売している、シード。これまで「ゴミ」として捨てられていたコンタクトの空ケースを「資源」としてアップサイクルする「BLUE SEED PROJECT」を展開し、環境負荷低減に貢献しています。
SDGsという世界共通言語ができたことで、消費者やほかの企業と共に取り組みを進める動きが加速できたという同社。メーカーを問わず、使い捨てコンタクトレンズの空ケースをリサイクルする活動は、メディアなどでも取り上げられ、自治体や学校からの問い合わせや相談も増えているといいます。
コンタクトレンズに使われている高品質のプラスチックをリサイクルすることで、一人ひとりの「自分ゴト」化を推進しながら、海洋プラスチック問題などの地球環境課題の解決に寄与しています。
筆者プロフィール
講談社SDGs編集部
SDGsをより深く理解し、その実現のために少しでも役立てていただけるよう、関連する知識や事例などの情報をお届けします。